船内では軍艦島と周辺地理に関する説明があり、やまさ海運のツアーでは日本語と中国語の2カ国語でアナウンスされていた。この日は晴れて波も穏やかに見えたが、そうした天候でも上陸できるとは限らないようだ。
目の前に到着したタイミングで風速、波高、視程(見通し距離)を測定し、安全条件をクリアしたうえ、安全に下船や見学ができると船長が判断した場合にのみ上陸が許可される。船内の緊張感が高まるなか、「上陸可能」のアナウンスが流れた瞬間、拍手と歓声がわいた。
上陸後に訪れるのは安全性が担保された3カ所のみで、約30分の短い見学となる。降り立ってみると圧巻の光景で、壁や天井が今にも崩れ落ちそうなほど朽ちた建造物に目を奪われる。夢中でシャッターを押したり、動画を撮影したりする人がほとんどだった。
ガイドによると、端島の最盛期の人口は約5300人で、子どもの数は1000人を超えていたという。島内には7階建ての小中学校が建てられ、海水を使ったプールもあり、その跡も見ることができた。
石炭の採掘を担っていた作業員たちは気温30度、湿度95%の過酷な条件下で作業していた。島内には、作業員が住む社宅も建てられ、1916年に建設された30号アパートは、日本最古の7階建て鉄筋コンクリート造の高層アパートといわれている。
島内には食料品店、郵便局、理髪店のほかに、映画館、パチンコ店といった娯楽施設もあり、島民はここで生活をまかなえたという。当時の面影が残る貴重な光景を間近で見ることができるため、上陸者の満足度は非常に高いという。
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