なぜコナズ珈琲は3時間待ちでも人気なのか?  “店づくり”の秘密に迫る(3/5 ページ)

» 2025年02月25日 06時00分 公開
[小林香織ITmedia]

板橋店は初めて“マラサダ専門店”を併設

 行列ができる繁盛店だが、単に出店数を伸ばすのではなく、目的来店を促すための店舗展開を大事にしている。2024年10月には、東京23区で2店舗目、全国で45店舗目となる「コナズ珈琲 板橋店」がオープンした。

2024年10月にオープンした「コナズ珈琲 板橋店」(筆者撮影、以下同)

 「都内の1店舗目は足立店で、2018年にオープンしたのですが、いまだに多くの待ち時間が発生しています。そのため近場にもう1店舗を出店したい気持ちがあり、たまたま100坪の店舗面積を設けられるこの場所が見つかり、出店を決めました」

マラサダの専門店「PALM WAGON(パームワゴン)」を併設。コナズ珈琲とは別の出入り口を設けている

 板橋店は以前にサイゼリヤがあった場所で、居抜き物件となる。最寄りの志村坂上駅から徒歩7分と全店舗のなかで最も駅から近い。さらに、全国で初めてマラサダのテークアウト専門店「PALM WAGON(パームワゴン)」を併設している。

KONA’Sでは、アメリカンビレッジに1号店の「マラサダ専門店」と「アサイー専門店」をオープンしている(KONA’S提供、以下同)

 パームワゴンはKONA’Sが展開する新ブランドで、2024年8月に1号店を沖縄県のアメリカンビレッジに出店。同時に、アサイー専門店「Berry Brown Bowls(ベリーブラウンボウルズ)」も同じエリアに出店した。マラサダもアサイーボウルもすでにコナズ珈琲で販売しているが、専門店としてブランド化したわけだ。

パームワゴンのマラサダ(280円〜)は、生地に水分を多く含ませ、やわらかくモチモチした食感を実現した

 マラサダとは、ハワイで人気のドーナツで小麦粉やイースト菌などを混ぜた生地を発酵させて油で揚げるのが一般的だ。日本のドーナツにはイースト菌を発酵させて膨らませる「イーストドーナツ」とベーキングパウダーで膨らませる「ケーキドーナツ」があり、マラサダの製法は前者にあたる。

 「マラサダはパンに近い製法で、一次発酵の後に成形して二次発酵させるため、ケーキドーナツと比較して手間がかかります。パームワゴンはハワイで大人気の『Leonard’s BAKERY(レナーズベーカリー)』をベンチマークにしつつ、同店のマラサダよりも口どけをふわっと軽くして差別化しています」

複数のラインアップがあるが、オーソドックスな「シュガー」や写真の「カスタード」が人気だという(筆者撮影)

 日本人には重くしっかりした食感より、やわらかくモチモチした食感が好まれやすいため、生地に水分をできるだけ多く含ませ、低温発酵させることで軽い口どけを実現したという。店舗は目の前で揚げる様子が見える設計としており、エンタメ的な要素も付加した。

 「パームワゴンは非常に好調です。特に2024年10月のオープン当初は計画値の約2倍の売れ行きで、私も店内でドーナツをひたすら揚げていました。コナズ珈琲に滞在されるのは女性の方が多いのですが、パームワゴンは男性のお客さまも多いですね」

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