今回の決算で最大の注目ポイントとなったのは、楽天が大規模に投資を行ってきたモバイル事業のコスト構造だ。
2024年12月期におけるモバイルセグメントの売上収益は3421億円(前年同期比28.9%増)で、音声通話やデータ通信の収益が順調に拡大している。ネットワーク整備の進展に伴うエリア拡大と月額料金プランの見直しが、ユーザー定着とARPU(1契約当たりの平均収入)の向上を後押ししている。
長年グループの収益を圧迫してきた設備投資額が縮小し、ローミング費用や販売奨励費も見直しが進んでいる様子がうかがえる。これによりモバイル事業の営業損失は前年同期比で約1000億円縮小し、前年同期のマイナス3358億円からマイナス2353億円に縮小した。これがグループ全体の営業黒字化に大きく貢献した格好だ。
モバイル事業のコスト増が落ち着きを見せ始めた一方で、グループ全体の利益に貢献しているのがECとFinTech(金融関連サービス)であることにも注目しておきたい。
ECサービスが含まれるインターネットサービスセグメントの売上収益は前年同期比5.8%増の1.3兆円で、営業利益は29.8%増の851億円となった。同社はコロナ禍でのEC需要拡大を経て、アフターコロナに入っても引き続き高水準を維持している。特に楽天市場や楽天トラベルの利用がコロナ前の2019年対比で44.5%も伸びており好調だ。全国的な旅行需要の回復とEC利用の定着が流通総額(GMV)増につながり、主要カテゴリーが年間を通じてほぼ全て前年超えを果たした。
余談だが、足元の物価高もECマーケットプレース事業には追い風だと考えられる。
なぜなら、プラットフォーマーが得る手数料は定率であるため、物価上昇により旅館の値段や商品価格が底上げされることで自動的に手数料収入も上がるからだ。確かにインフレが深刻化すれば、家計においてECや旅行への支出が絞られることで流通総額が下がる可能性もある。しかしインフレ下において、楽天のような実店舗との比較して安価な商品が見つかりやすいマーケットプレースは、インフレ防衛の観点で家計の受け皿になっている側面もあるかもしれない。
FinTechセグメントは売上収益が前年同期比13.1%増の8204億円、営業利益は37.9%増の1534億円となった。楽天カードの取扱高や楽天銀行の口座数、楽天証券の預かり資産が拡大を続けている。キャッシュレス化の加速や新NISAの好調な滑り出しをうけて、同セグメントは引き続きグループの稼ぎ頭として利益をけん引している。
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