ラーメン業界が苦戦するなか、なぜ「油そば専門店」は成長しているのか(3/5 ページ)

» 2025年03月03日 12時40分 公開
[小林香織ITmedia]

コスパ、タイパよし

 それぞれの専門店にこだわりの違いはあるが、油そばは総じて「コスパ・タイパの良さ」「低カロリー」「味変の要素」が支持されていると関谷氏は話す。

油そばぶらぶら 京橋店で筆者が注文した「温玉油そば(並盛)」(990円、筆者撮影、以下同)

 「当店はこの2月からスタンダードな『油そば』を、850円から880円に値上げしましたが、それでも油そば専門店としては低価格帯だと思います。特盛まで同一価格なので、大半の人が『大盛』か『特盛』を注文します。ランチタイムや午後7時以降は店外に列が発生することもありますが、注文から5分ほどで提供されて回転率がいいので、それほど待ち時間は長くなりません」(関谷氏)

 他社の価格を調べると、東京油組総本店も並盛・大盛・W盛を同一価格の880円で提供。歌志軒は、並盛と大盛が790円、倍盛が890円、でら盛が990円と、ほとんど差がなかった。スープがなく、規定量のタレに茹(ゆ)でた麺と具材を盛り付けるだけというシンプルなオペレーションのため、提供時間が短く、かつ同一価格で提供しやすいようだ。

各社により種類は異なるが、総じて卓上調味料は多めに用意されている
まずはタレと麺をよく混ぜる

 カロリーは豚骨ラーメンと比較して約3分の2で、「罪悪感なく食べられる」という。さらに、テーブルに並ぶ「卓上調味料」も油そばの人気に一役買っているらしい。「酢」「ラー油」「コショウ」「ニンニク」などはスタンダードだが、それ以外にも「刻み玉ねぎ」「乾燥ガーリック」「カレー粉」「ゴマ」「特性一味唐辛子」など店ごとに個性があるようだ。

ぶらぶらの壁には、おすすめの食べ方が示されていた
シメは、そば湯のような感覚で鶏だしのスープを入れて飲む

 ぶらぶらの店内には「おすすめの食べ方」の表記があった。まずはそのまま、次にニンニクを入れて旨みをアップ、続いて酢と玉ねぎでサッパリと、さらに一味唐辛子とコショウで味変を楽しむ。そして、鶏だしのスープを入れてシメる。関谷氏いわく、3〜4回リピートして、ようやく「自分好みの味」が完成するそうだ。

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