ラーメン業界が苦戦するなか、なぜ「油そば専門店」は成長しているのか(5/5 ページ)

» 2025年03月03日 12時40分 公開
[小林香織ITmedia]
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実は、「原価が安い」わけではない

 油そばはスープを使わないぶん、ラーメン店と比較してメリットが多いという。例えば、商品の提供が単純作業で簡単、スープを炊かないのでガス代が安い、捨てる食材が少ない、ニオイが出づらく店内を清潔に保ちやすい、人件費を抑えやすいなど。

 「小さな店舗だと1人で店を回せるぐらい、オペレーションがシンプルです。フランチャイズ展開の場合、オーナーとアルバイトが1人いれば回せます。原価と人件費のコントロールがしやすいので、赤字になりにくいといえます」(磯部氏)

小さな店舗ならワンオペも可能。京橋店もランチタイムにワンオペで回していた

 ぶらぶらでは、2025年に池袋と横須賀中央への出店を予定しており、さらなる出店拡大を見据えている。2店舗目の出店に意欲的なフランチャイズオーナーが多く、物件を探しているところだという。順調に事業が推移しているが、一方で難しいと感じていることもあるようだ。

 「スープがないから原価が安いと考えるお客さまもいるようで、『安く提供できるでしょ』と言われることがあるのですが、実はそれほど原価率が低いわけではありません。コストを抑えやすいぶん、当社は高品質な油に原価をかけていますし。そこは誤解されやすい点ですね」(磯部氏)

近年の原価高騰により値上げを余儀なくされているという

 開業当初はスタンダードな油そばを690円で提供していたが、コロナ禍明けから段階的に値上げを実施。その後、しばらく850円をキープしてきたが、原価の急高騰に伴い、この2月から880円に値上げした。コスパの良さを期待されていることから維持したい思いはあるが、味の要となる「油」の価格高騰により、やむなく決断したという。

 油そば専門店の競合が増えていることも、難しさといえるかもしれない。これに関しては、「来店動機につながるキャンペーンを継続的に打ち出していく」とのこと。今後の事業拡大には、他店とのさらなる差別化も求められそうだ。

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