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大谷翔平効果で「お〜いお茶」販売数量9%増 伊藤園副社長に聞く海外戦略(2/2 ページ)

» 2025年03月04日 05時00分 公開
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35年トップシェアの要因

――お〜いお茶の海外展開の歴史で、最初のブレークスルーとなった出来事は何ですか。

 米国では2004年に大手スーパーのホールフーズ・マーケットでお〜いお茶の扱いが始まったことが大きな転機でした。その後、コストコなど他の大手量販店でも展開し、特に米国における大きな市場拡大につながりました。

――国内市場で競合他社との差別化についてどうお考えですか。

 お〜いお茶がトップシェアを維持できている理由として、品質と味へのこだわり、畑から取り組む生産体制、そしてブランドイメージがあります。この3つが相互に作用し合い、ロイヤルカスタマーを獲得できていることが要因だと分析しています。

――35年以上にわたる展開で、最初のユーザーは今や高齢者になっている人も少なくありません。新しい世代にも受け入れられ続けている要因は何なのでしょうか。

 例えばマクドナルドなどと同様に、子どもの時から慣れ親しんでいる製品というのが大きいと思います。10代後半や20歳前後になって1回ブランドを離れるユーザーもいます。しかし、その一度離れた人たちをどう再び捕まえるかを大切にしています。

 今のZ世代向けのマーケティングも怠っていません。例えば、Z世代など新しい世代への訴求として、若者と一緒に開発した、まろやかなあまみが特徴のお〜いお茶シリーズなどの商品を展開しています。

――副社長として経営で大切にしている考え方をお聞かせください。

 私が大切にしているのは武田信玄の「風林火山」の精神です。「疾きこと風の如(ごと)く、徐かなること林の如く」といった言葉の通り、市場環境や競争状況に応じて柔軟かつ迅速に対応することが重要だと考えています。

――1989年の登場以来、お〜いお茶はトップシェアをずっと維持し続けてきています。他分野だと、先行者であってもトップから陥落してしまうことは珍しくありません。何を重視しているのでしょうか。

 お〜いお茶は登場してしばらくは大きな競合製品がありませんでしたので、最初はシェア100%と言えます。そう考えると、今は36%まで落ちてきている、という見方もできますね。

 お〜いお茶ブランドは、お茶本来のおいしさをお客さまのライフスタイルに合わせて変化させ続けてきたことがブランド価値となっています。日本を代表するお茶として、営業力やマーケティング力、原料調達力、製造技術力などを結集して真摯に挑戦し続けること、そしてこれらをバランスよく推進することが肝要ですね。今後は、グローバルスタンダードなブランドを目標に、戦略を講じていきます。

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