大企業で危機管理やSNSマーケティングをしている人はよく分かると思うが、ネットの口コミやSNS上に自社の悪口、商品やサービスに対する問題、顧客からのクレーム、社内のスキャンダルなどが書かれた投稿は、山ほどあるはずだ。
しかし、当たり前だがその全てには対応しない。インプレッションやリツイートが少ないものは「静観」するのが基本だ。例えば、企業の不正を告発するような投稿があったとしても、それを20人くらいしか見ていなくて全く拡散されていなければ、ほとんどの企業は「静観」する。間違っても「SNSの投稿について」なんてプレスリリースは出さない。
食品や外食の異物混入も実は同じだ。皆さんもSNSを見ていただければ分かるように、「○○に虫が入っていた」「XXにゴキブリが」などという投稿とともに写真をアップする人はわりと多い。いまだにスシローのしょうゆ差しペロペロ少年のように、回転寿司でガリをバクバク食べるような愚かな動画も流れている。
しかし、そのことについて渦中の企業はわざわざプレスリリースを出さない。インプレッションやリツイートという「数字」が自社の危機管理対応の基準に満たないので「静観」しているのだ。
今回の「ネズミ味噌汁」もその可能性が高い。先ほど述べたように本件情報の出所は1月に投稿されたGoogleマップ上の口コミだ。しかし、このとき炎上していなかったので「すき家」としては静観していた。報道によると、そのまま時が過ぎて、このGoogleマップの投稿に多くの人が注目したのは3月に入ってからだ。そして、『NEWSポストセブン』が「すき家」に対して取材を申し込み、その回答と同時にプレスリリースを配信した、という流れだ。
「すき家」としてはあくまでインプレッションやリツイートという「数字」を参考にして、「静観」を続けていた。つまり、「なぜすき家は2カ月も公表しなかったのか」というと、「この2カ月間ネズミ混入写真がバズらなかったから」なのだ。
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