そもそも、「会社を辞める人」からすれば、その会社に「本心」を全てさらけ出す義理などない。では、「退職理由」は何を目的としているかというと、スムーズに後腐れなく「縁」を切ることだ。
それは今の若手社員も同じだ。上司から「なんで辞めるんだ? 理由を言ってくれ」とつめ寄られて、「あんたみたいなさえない中間管理職になりたくないからだよ」とか「この会社にいても10年後の自分が想像できねえんだよ」なんて本音は口が裂けても言えない。そうなると「成長したい」「他にやりたいことがある」なんて感じの、どこかで聞いた「模範解答」をひねり出すしかないのだ。
実際、エン・ジャパンが転職サービス「エン転職」の利用者3780人に聞いた2024年の調査によると、退職した人の半数が退職時に本当の理由を「伝えなかった」と回答している。
これは冷静に考えれば当然だ。読者の皆さんも就職活動では「会社説明会を聞いて営業の仕事に興味があります」「創業者の理念を見て共感しました」など、マニュアルに書いてある模範解答を言っていたはずだ。会社に入るときも、出ていくときも「本音」を明かす人のほうが珍しいのだ。
そういう「若手社員の退職の現実」を踏まえれば、若手の「ホワイトすぎるので辞めます」といった退職理由も、話半分に聞いておくくらいがちょうどいい。
令和の時代、退職する会社と一刻も早く縁を切りたい若手からすれば、この「退職理由」は引き止められるリスクゼロの最強カードだからだ。
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