例えば、もしあなたが上司で、若手社員から「成長が実感できないので辞めます」と言われたら、さまざまな引き止め方があるはずだ。これまでと違う仕事を経験させたり、業務時間以外の自己研さんや人脈づくりをサポートしたりして、この若手に何とか成長を実感させ、退職を思いとどまらせようとするだろう。
しかし、「ホワイトすぎるので辞めます」と告げられてしまったら、もはやお手上げだ。以下のようなことは絶対に言えないからだ。
「じゃあ、これからは君だけは成長のために、厳しい叱責とか精神的に追い詰めるノルマとかガンガンやってくから考え直してよ」
「ちょっと判断を急ぎすぎじゃない? ウチの会社でもホワイトじゃない働き方などいくらでもできる。例えば、人事部がうるさいから残業はできないけれど、特別に自宅に仕事持ち帰っていいよ。私がうまくゴマかしておくから」
まともな会社は、今やコンプライアンス順守を徹底しなくてはいけない。勤務時間や仕事量はもちろん、指導する際、昭和のおじさんたちが当たり前に受けた「恫喝」や「シゴキ」的なものは全てハラスメントとして社内処分の対象なのだ。そうなると、あなたは苦虫をかみ潰したような顔でこう言うしかない。
「そ、そっか。ウチの会社とは合わなかったのかもね。次の職場でも頑張れよ」
さて、ここまで言えば、「ホワイトすぎるので辞めます」というのが、いまの会社をとっとと辞めたい若手社員による、緻密に練られた「退職戦略」だということが分かっていただけるだろう。
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