前回の記事では、超高速配送の仕組みと、海外の成功事例について紹介した。
海外で成功事例が多数存在する超高速配送だが、日本においてはまだ大きな広がりを見せていない。今回の記事では、超高速配送が日本で浸透しない要因の他、日本国内での成功事例「ONIGO」を取り上げ、日本で超高速配送を成功させるために必要な3つのポイントを解説していく。
日本で超高速配送が広がらない理由として、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)が多いことがある。国内には約5.6万店舗のコンビニが存在し、人口とエリアを網羅するように店舗を展開している。特に都市部においては、コンビニが消費者とのラストマイルを補完する役割を果たしている。
また、中食(総菜や弁当、調理パンなど)市場の充実も、超高速配送のニーズを抑制する要因の一つだ。中食の市場規模は約11兆円(日本総菜協会)の巨大市場で、コンビニや食品スーパーでは、中食や日持ちする冷凍食品が豊富に並ぶ。食品製造・小売業が超高速配送需要の一部を吸収している。中食のコストを気にする層や健康志向の自炊ニーズに対しては、手軽なミールキット産業が成長しており、D2C企業が需要を満たす。
過去には、ドイツのDelivery Hero、韓国のCoupangなど外資の超高速配送企業が日本市場に参入を試みたものの、数年で撤退していった。
敗因はコンビニの代替を狙ったことが大きい。食品配送との相性が良い超高速配送だが、前述したようにコンビニの代替サービスは大量のコンビニ店舗が普及を阻む。超高速配送の高コストをまかなえるほどの売り上げが立たない。一方で食品スーパーの代替を行うには国内独自の生鮮食品調達チェーンに入り込むという高いハードルがそびえたつ。さらに生鮮の在庫管理にも専門人材が必要でさらにコストがかさむ。
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