ローソン「マチの本屋さん」は何を変えたか 書店空白地に本棚をつくった(5/5 ページ)

» 2025年05月19日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]
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課題は「売り場づくり」や「接客」

 このように書店とコンビニの相乗効果が見えてきており、ローソンでは、引き続き「マチの本屋さん」を拡大していく方針だ。それを実現するには、どんな問題があるのか。

 「『従業員の育成』が一番の課題と言えます。『マチの本屋さん』は、直営もフランチャイズもどちらもありますが、いずれにしても、書店運営に十分なスキルを持つオーナーや従業員は多くいません」

 「マチの本屋さん」をオープンする際は、該当店舗のフランチャイズオーナーや従業員に対して書店運営に関する研修を実施している。しかし、得られるのは基本的な情報のみになるため、「接客」や「売り場づくり」のスキルアップには相応の経験を積むことが求められる。

「売り場づくり」や「接客」スキルの向上は、経験を積まなければ難しい

 「売り場づくりに関しては、定期的にトーハンの担当者の方に巡回いただき、当社からの意向も踏まえながら各店にアドバイスをしています。本来であれば、各店の売り上げに応じて棚の構成を変更できればベストですが、まだそこまでは手を加えられていません」

 小規模な書店では、来店層に合わせた売り場構成やレイアウトの工夫、販促ツールのPOP活用、効率的な情報発信などの施策が、売上向上に寄与するとされている。「マチの本屋さん」でも、自主的にPOPを作るなどして積極的に売上増を狙う店舗もあるが、まだ少数のようだ。

 ただでさえ業務が多岐にわたるコンビニに書店を併設することは、大きな負担となる。しかし、経験を積み重ねることで書店運営スキルが向上すれば、売上増につながる可能性はありそうだ。

著者プロフィール:小林香織

 1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。

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