「貞子が出現する村」は、その後どうなったのか――。
奈良県下北山村が2022年にリリースしたAR(拡張現実)アプリ「貞子の村巡り」は、当時大きな話題を呼んだ。ホラー映画の代名詞である貞子が、スマホを通して村内の名所から出現するという斬新な取り組みは、SNSで「バケモンGO」などと呼ばれ、多くのメディアにも取り上げられた。
リリースから3年が経過した現在、村を取り巻く状況はどう変化したのか。
「貞子の村巡り―下北山村でさだキャン―」は、凸版印刷との共同開発。村内9カ所のARスポットを巡りながら、貞子と一緒に写真撮影ができる観光周遊アプリだ。VPS(ビジュアルポジショニングシステム)技術を採用し、数センチメートル単位の精度でAR表示を実現している。
VPSとは、画像認識技術で現実世界との位置を合わせることで、端末の場所や向きを特定する技術だ。人工衛星からデータを受け取る「GPS」よりも、高精度な位置情報を取得できる。
初年度(2023年)のアプリダウンロード数は、約3800件を記録した。リリース当時の村の人口が815人だったことを考えると、インパクトのある数字だといえる。しかし、2024年は約1200件と前年の3分の1に減少し、2025年1月から3月は約200件にとどまるなど、一時の勢いは衰えつつある。
それでも、下北山村の地域振興課の担当者は「自治体リリースのアプリとしては悪くない数字だ。尖った企画で、注目してもらえた」と手応えを語る。イベントなどに参加すると、「貞子の下北山村」と声をかけられることも多く、村の認知度向上を実感する機会が増えたという。
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