混雑率199%の衝撃 東京メトロ東西線はなぜ「すいている時間がない」のか鉄道の「雑学」(3/4 ページ)

» 2025年06月19日 06時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

ダイヤによる影響は?

 東西線の混雑には、こうした歴史的な影響に加えて、「通過待ち」が十分に行えていないことも大きい。

 東京メトロのダイヤの特徴は、ほとんどの時間帯で快速運転を実施していることだ。快速列車は、東陽町より東側は浦安と西船橋のみ停車する。平日朝に西船橋方面から都心に向かう列車には通勤快速があり、西船橋〜浦安間は通過する。

 東西線は、東京都内の地下鉄としては初めて快速運転を実施した路線である。東京の多くの地下鉄が都心部のみを走るのに対し、東西線は郊外まで延びており、遠距離通勤客と近距離利用者が混在する。そのため、両者の利用実態を考慮したダイヤ編成が求められている。

 こうした快速列車の通過待ちは、葛西や妙典、原木中山などで行われているが、快速列車と各駅停車がスムーズに接続できる駅はほとんどない。例えば、浦安で快速に乗り継ぐためには、一度降りて待たなければならない。

 また、東西線は平日の昼間、1時間あたりおよそ12本の列車が走っている。中央・総武緩行線三鷹発の列車は4本、中野始発は8本。うち4本は快速で、東葉高速鉄道に直通となる。

中央・総武緩行線直通のものも(出典:ゲッティイメージズ)

 もちろん、ラッシュ時はこれよりも本数が多い。最も混雑する時間帯では、東から西へ向かう列車は27本、西から東に向かう列車は23本となっている。時間帯によっては妙典発着の列車もあり、この列車を上手に利用できればラッシュ時の大混雑は回避できるかもしれないが、妙典の利用者でなければ座ることはできないだろう。

 快速列車を運行しているのが東西線のダイヤの特徴であるが、多くの駅で各駅停車を追い越していくわけではない。例えば、東陽町を4分後に出た快速列車が、浦安で各駅停車の2分先に、さらに西船橋では7分先に到着する程度である。この間、葛西でしか通過待ちは行わない。ラッシュ時に西船橋方面から都心に向かう快速列車は、原木中山や妙典で各駅停車を追い越す運用も行われている。

 ただ、こうした追い越し用の線路が十分に活用できているとは言い難く、そのために運行本数が増やせないことが、東西線の混雑につながっていると筆者は考えている。

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