BYDの軽EVは日本で売れるのか 苦戦が予想される“これだけの理由”高根英幸 「クルマのミライ」(5/6 ページ)

» 2025年06月20日 06時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

10%の不良率をどう解決するか――日本人と中国人の違い

 電池関係の展示会では、電池本体や性能・品質を評価する技術などだけでなく、製造装置も出展されていた。

 電池を生産するための装置の一つ、ローラーのメーカーと、そのローラーで送られるフィルム(セパレーターとして使われるもので、上に活物質を塗布する)の異物を除去する装置のメーカーに話を聞いた。

 それによると、ローラーの精度やフィルムの歪みを防ぐノウハウ、フィルム状の異物をエアで飛ばしながら別の部分で再付着を防ぐ除去の仕組みなど、日本のバッテリーの高品質を支える要因の一端が垣間見えた。これらの製造装置は、中国など他国の電池メーカーにも販売されているという。

バッテリー内部のセパレーターとなるフィルムを送る装置の中には、異物を除去する機械が組み込まれる。写真は異物に見立てた黄色い粉末をフィルムに振りかけ、それをどのように除去するかデモしている様子(筆者撮影)

 ならば品質の差はどこで生まれるのか。あるメーカーの説明員は「中国のメーカーは不良品率が10%であれば、100個の製品を送る際に、あらかじめ10個の代替品を追加して納品する」のだという。

 日本メーカーであれば、不良品率を1%以下にするよう努力し続けるが、中国のメーカーはそうした努力よりも代替品をサービスして、開発のリソースを次世代製品に注ぎ込もうという考えなのだろう。

 合理的ではあるが、現時点での製品のユーザーにとっては「壊れたら交換してくれる」よりも「壊れない製品」こそ必要なのだ。同じ製品保証でも、これほどのスタンスの違いがある。

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