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「10兆円ファンド」支援対象の東北大 理事・副学長に聞く「日本型研究人事」の課題:東北大学の挑戦(1/4 ページ)

» 2025年08月08日 14時04分 公開

 東北大学は、グローバルで活躍する主に日本の若手研究者を客員教員として招聘し、社会実装や産学共創を促進する新たなプラットフォーム「ZERO INSTITUTE」を設立した。9月から本格稼働させる。

 ZERO INSTITUTEは、分野や業界の枠を超えた多人数の連携によって、大学研究機関と企業といった従来のマンツーマン型の共同研究とは異なり、研究者と企業がN対Nで集うプラットフォームを形成し、従来の縦割りや閉じた共同研究の枠を超え、知の交差点として企業と研究者の創発促進を可能にした。2028年度までに100人以上が活動するプラットフォームを目指す。

東北大学は、グローバルで活躍する主に日本の若手研究者を客員教員として招聘し、社会実装や産学共創を促進する新たなプラットフォーム「ZERO INSTITUTE」を設立した

 ZERO INSTITUTEの特徴は、客員教員という柔軟な働き方を認めている点だ。これは例えば、企業や別の大学などに籍を置いたままでも、客員教員としてZERO INSTITUTEのプロジェクトに関われる。肩書きや雇用形態の違いにとらわれず、博士課程在籍中の人材にも門戸を広げた。研究者は、一定の審査を経て自ら社会実装プロジェクトを企画・推進できる。これによって国をまたいだ若手研究者の活躍を阻害しないのが狙いだ。

 東北大は2024年11月、世界水準の研究活動や国際的な連携力が評価され、国際卓越研究大学第1号として認定を受けた。12月に体制強化計画についての認可も受けている。その実績とネットワークを土台に、グローバルな研究者や企業と協働する新体制の確立や、新たな産学共創の拠点整備を進め、研究環境の拡充と社会実装の加速に力を入れている。ZERO INSTITUTEの設立も、こうした卓越大としての認定を受けて推進する取り組みの一つだ。

 卓越大になって東北大は何が変わっているのか。ZERO INSTITUTE設立の狙いは何か。青木孝文理事・副学長に聞いた。

青木孝文(あおき・たかふみ)1965年生まれ。1992年東北大学大学院工学研究科博士課程修了。専門はコンピューター工学、生体認証など。東北大学大学院情報科学研究科教授を経て、2012年から副学長、2018年理事を兼務。企画戦略を担うプロボストを務める。宮城県出身

研究者の流動性を高めるために必要な制度改革

――ZERO INSTITUTEには、若手研究者の働き方に柔軟性を持たせ、海外で活躍する日本人研究者が日本でも活動できる狙いがあります。この背景と課題について教えてください。

 日本は非常に真面目な国民性で、どうしても大学の中における雇用のルールや枠組みにこだわりがちです。最近は大手企業でも副業や兼業が進んでいるとはいえ、全体的にはまだ組織に強く所属する意識が根強く残っています。研究者などが大学研究機関、企業で、2つ以上の機関に雇用されつつ研究や教育ができる「クロスアポイントメント」制度があります。しかしこれも、「企業同士」「企業と大学」「大学同士」など、機関間で協定を結ぶ仕組みばかりが報道で取り上げられがちです。しかし、海外では必ずしもそうではありません。

 実際、海外では個人の働き方の自由度が高く、クロスアポイントメントという言葉よりも、個人と機関の間で契約を結ぶ形が一般的です。こうした契約によって、より柔軟に人材が行き来しています。

 ただ、日本の大学関係者でも、この点については意外と理解が進んでいません。実際に私たちも国際卓越研究大学として海外人材を取り入れる中で、海外では業務委託に近い契約ベースで進めることが一般的だと知りました。研究の世界でも、業務委託的な柔軟な形で活動し、それが大学でもごく一般的に認められているのです。今後は、私たちもその方向を目指さなければならないと考えています。

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