寺山本部長は、モバイルオーダーでのグッズ・飲食販売について「まずはLINEミニアプリの機能を使い倒してもらい、クラブにとってハード・ソフト両面での強化の一助になればいいというスタンスです」と話す。
「リピーターが増え、新しいお客さまがスタジアムに来場すれば、私たちのサービスを採用するアリーナも増えていくと推測しています」(寺山本部長)
マネタイズについては、すぐに利益を求めるのではなく、中長期的な視野に立って取り組んでいるようだ。「顧客体験を軸に、LINEミニアプリ内のサービスの提供数を増やし、数年かけて浸透させる形でやってきました。今後、アプリ内課金やアプリ決済が始まるので、そこからマネタイズができるようになると考えています」(寺山本部長)
これまではWebブラウザをベースに課金するサービスを提供してきたものの、アプリ内での課金はできなかった。しかし、アプリ内課金機能も順次提供していくとしている。
こういった取り組みにより、LINEミニアプリの利用者がさらに増加すれば、LINE上でのユーザーの滞在時間が増え、LINE自体のメディア・媒体としての価値向上も期待できる。最終的には、広告の売り上げ増加にまでつなげることによって、対価を得ようという考えがベースにあるようだ。
今後の課題について寺山本部長は「LINEミニアプリの認知度がまだまだ低い点が挙げられます。ユーザーが、もっとLINEミニアプリに出会えるようにしたい」と話す。5月に六本木ヒルズ・グランドハイアット東京で開いたイベント「Hello Friends! W!th LINEヤフー」での取り組みもその一環だ。
ユーザーからは、より分かりやすく、日常的に使えるものにしてほしいというリクエストが届いており、LINEミニアプリ内のアクセス導線の強化など、さまざまなアップデートを予定しているという。
ビジネスを安定させるには、ライト層がリピーターになってもらうことが重要だ。例えばアリーナ来場者が、再度アリーナに来たくなるような観戦体験を作り出せるかがカギとなる。
「過去のスタンプラリーやモバイルオーダーを利用したユーザーに対して『次の試合また来ませんか?』というメッセージを送るというアプローチを始めています。ただ、どのタイミングでメッセージを送るべきなのかは、今も手探りの状態です。スポーツは熱狂が重要なので『鉄は熱いうちに打て』ではないですが、ホットなうちに通知を送るのは重要なので、LINEミニアプリの機能は、即効性も備えていると感じています」(湯川アシスタントマネージャー)
LINEヤフーにとってLINEミニアプリの提供は、最初からマネタイズありきではない。筆者はここがポイントだと感じる。寺山本部長は「当社がスポーツやエンターテインメントの領域で、各種スポンサーをしている理由は、そこにもあります」と語っていた。
Bリーグの成功事例は、他のスポーツやエンタメにも応用できそうだ。「ノウハウがもっと蓄積されれば、新規の集客支援などもしやすくなります。当社が抱える各種メディアや商品につなげることによって、よりビジネスを広げていきたいです」(寺山本部長)
すでに、他のスポーツやエンタメ、飲食関連企業に対して、それぞれの状況に合わせたサービスを提供する話を進めているという。
Bリーグのような成功事例が増えていけば、ITビジネスの進化だけにとどまらず、日本のスポーツ文化の成熟、景気に左右されない持続可能なスポーツビジネスにつながっていくはずだ。
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