ここからはあくまで筆者の想像だが、例の投稿が炎上した際、ミツカンの社内でも「これ、謝罪とかしないで静観で良くない?」という意見は当然、持ち上がったはずだ。あれだけ大きな会社の企業危機管理担当者ならば当然、昨今の「非実在型炎上」も理解しているし、亀田製菓や東洋水産のような対応をしたほうが、早く収束することも分かっていたはずだ。
しかし、分かっていながらも「謝罪文」を出した。ということは、謝罪しなくてはいけない「組織内力学」が働いたことが想像できる。
そして、これは危機管理の現場でよくあることなのだが、「その組織にとって非常に大切なものを守る」ことを最優先するあまり、ベストではない対応、むしろ悪手を選ばざるを得ないことがある。それがミツカンでもあったのではないか、と筆者は考えている。
その根拠は、SNSでミツカンを攻撃している人たちが訴えている「主婦をバカにしている」というメッセージだ。
先ほども申し上げたように、これを主張しているのはほんの一握りの人たちだ。アカウントのプロフィールを見ると、「主婦」ではない人も少なくない。大多数は「へえ、世の中にはそんなふうに解釈する人もいるんだね」「ちょっと被害妄想がすぎるんじゃない」という感じで、もの珍しく見ているだけだ。
ただ、そんなマイノリティーの批判であっても、ミツカンは受け流すことはできない。ミツカンにとって「主婦」というのは、同社をここまで大きく成長させてくれた「大恩人」だからだ。
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