新型プレリュードは若者に売れない? それでも日本車の未来を切り開く理由高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)

» 2025年09月19日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

これまでのスペシャリティクーペと何が違うのか

 ホンダが24年ぶりに復活させたプレリュードは、スペシャリティクーペを踏襲しているものの、単なる懐古的なリバイバルカーではない。

 確かに成り立ちは、シビックのプラットフォームにクーペボディをかぶせたもので、かつて存在したスペシャリティカー(セダンのプラットフォームに専用のクーペボディをかぶせたモデル)というジャンルそのものだ。だが、このクルマの魅力の本質は、そんなところにあるのではない。

 ソフトウェア技術により実現した「ユーザーを夢中にさせる走り」こそ、このクルマの真骨頂なのである。

 シビックというスポーティーなポテンシャルを秘めたプラットフォームを利用しているが、ホイールベースを縮め、伸びやかで低いボディを与えることにより、見た目は優雅でスポーティーな印象だ。

 シビックのハイブリッドも、タイプRやRSとは異なるスポーティー感を演出する仕立てが施されている。これはホンダらしさであり、走りの爽快感を体現しているといえる。プレリュードに注入されたのは、この爽快感をより研ぎ澄ますことだった。

新型プレリュードに設けられたドライブモードスイッチ。S+のボタンでは、MTモードとなってパドル操作でギアシフトしたような感覚が得られる(写真:ホンダ)

 シビックタイプRの優れた足回りを使い、サスペンションのセッティング、電子制御の味付けでさらにシャープなハンドリング性能を与えることで、シビックとは別物の走行フィールを実現している。これはSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル=ソフトウェアによって定義されたクルマ)の具体的な活用例といえるだろう。

 電子デバイスにより、シャープな操縦性と走りの安定性を両立させているのだ。普通のドライバーが運転がうまくなったと錯覚するほどよく曲がるように仕立てると、状況によっては操作を誤ってスピンモードに陥るリスクも出てくる。しかし、横滑り防止装置をさらに高度に研ぎ澄ますことで、ドライバーが意のままに操っていると実感しながらも、いざという時には運転を助けてくれる仕組みでバックアップしている。

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