現在、投資家はメタプラネット株を通じ、税制上有利な形で間接的にビットコインを保有できていると思っているだろう。しかし、この優位性が失われる可能性が高まっている。政府・与党はWeb3を国家戦略と位置付け、税制改正に本腰を入れているからだ。
個人の暗号資産取引で得た利益を、最大55%の総合課税から株式などと同じ一律20%の分離課税へ変更する案が有力視されている。さらに、金融庁がビットコインETF(上場投資信託)の組成を認可する可能性も高まっている。
これらの改正が実現すれば、個人投資家はメタプラネット株を経由せずとも、税制上のメリットを享受できる。特にETFが承認されれば、信託報酬というわずかなコストで、より安全かつ手軽にビットコインへ投資できるようになる。
この制度変更への思惑が、同社の将来的な存在価値への疑念を生み、株価下落を加速させている。
税制の優位性を除いても、現在の株価は割高ではないかとの見方が市場関係者の間で根強い。
その根拠がPBR(株価純資産倍率)だ。メタプラネットのPBRは現在約2倍。投資家が支払う株価のうち、純資産に相当するのは半分にすぎず、残りは将来性への期待値(プレミアム)だ。これは、実質的に「1BTC=1500万円」の時に「1BTC=3000万円」で購入する構造に近い。将来ビットコイン価格が上昇しても、その利益の半分はプレミアム分の回収に消えることになる。
一方「暗号資産の最高税率55%」という表現が独り歩きしているが、実際に最高税率が適用されるのは課税所得4000万円超の部分に限られる。大多数の投資家にとっては、PBR2倍での投資は税制上の不利を補って余りあるほど割高な選択となる。
さらに、同社はビットコイン購入資金を調達するため、大規模な新株発行を繰り返してきた。直近でも発行済み株式数の半分以上に及ぶ新株発行を計画しており、既存株主の持分希薄化懸念を招いている。
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