GDOの事例が示すのは、こうした取り組みが単なる「次世代SEO」ではなく、マーケティング全体を変革する可能性だ。その兆候として、生成AI広告市場の立ち上がりが挙げられる。この6月に、OpenAIのサム・アルトマン氏がGPT-5への広告配信可能性を示唆して以降、Amazon、Googleが相次いで生成AI広告への取り組みを表明している。
市場の関心の高さは、具体的な数値にも表れている。電通デジタルがGEOコンサルティングサービスをリリースしてから約3カ月で、問い合わせから提案に至った件数は50件に達し、そのうち8件が有償での受注となった。
「通常は無償での概念実証が多いにも関わらず、既に有償でサービス提供している案件が8件もあることで、企業のGEOへの関心の高さを実感しています」(山本氏)
成功のポイントとなるデータ主導のアプローチをより多くの企業が実践できるよう、業界では知見の自動化が進んでいる。「これまではSEO専門家と試行錯誤しながら取り組んできましたが、確立した一連のプロセスをAIに学習させる取り組みが始まっています」と山本氏は現在の開発状況を説明する。
こうした自動化ツールでは、AIと対話しながら「このURLのページをどう改善すべきか」「特定の部分をどう修正すべきか」「サイト全体をどう診断すべきか」といった相談が可能になる見通しだ。
ユーザーの行動も変化し始めている。電通グループの調査では、20代のほぼ40%が対話型AIに名前をつけて親しみを示し、「気軽に感情を共有できる人」として母親や親友を抑えてAIが上位に位置しているというのだ。
「人はAIと対話するもの」という前提に立ったとき、マーケティングファネルにも変化が生まれるだろう。従来の認知→関心→購買→利用という流れに「対話・相談」というフェーズが挿入されるからだ。
「認知段階でチャット検索を活用し、関心段階で対話を通じて相談し、購買後も使い方について相談するという流れが生まれます」(山本氏)
ここまで触れた変化は、ARグラスや自動運転車といった次世代デバイスでさらに加速する可能性が高い。物理空間と連携した新しい対話広告が登場し、デジタル空間との境界を感じずに対話できる体験が拡大していくと予測される。
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