本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。
日本を代表する飲料メーカーが窮地に陥っている。アサヒグループホールディングスは9月29日、サイバー攻撃を受けたことを公表した。
この時点で、国内のグループ各社の受注や出荷、コールセンターの業務が、システム障害によって停止していた。同社は緊急事態対策本部を立ち上げ、「お客さまへの商品の供給を最優先業務と位置づけ、部分的に手作業での受注を進め、順次出荷を開始しています」と説明した。
ただ、今回のサイバー攻撃は、ランサムウェア攻撃であり、復旧までに時間がかかることが分かった。各メディアでもアサヒの出荷が滞る可能性が報じられ、混乱が広がった。
ランサムウェア攻撃が日本で問題視されるようになったのは、2015年頃だ。それから10年たったが、今も世界でランサムウェア攻撃は猛威を振るっている。
ランサムウェア攻撃では、攻撃者が企業などの組織に不正アクセスして、サーバやシステム、PCを勝手に暗号化して使えなくしてしまう。そして不正アクセスを成功させた際に、攻撃者はシステムから組織の内部情報を大量に盗み出しており、身代金を払わない場合はその情報を公開すると脅迫する。
アサヒグループのケースでは、10月7日にロシア系のサイバー犯罪組織である「Qilin(キリン)」が犯行声明を発表した。同組織は、アサヒから盗み出した内部情報9323ファイル(27ギガバイト)の一部を公開。アサヒに身代金を要求していると見られる。
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その採用、大丈夫? 日本にも広がる「民間企業のスパイ活動」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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