アサヒに襲ったサイバー攻撃 ランサムウェア被害と身代金の現実世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2025年10月11日 07時56分 公開
[山田敏弘ITmedia]

世界を読み解くニュース・サロン:

本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。

 日本を代表する飲料メーカーが窮地に陥っている。アサヒグループホールディングスは9月29日、サイバー攻撃を受けたことを公表した。

 この時点で、国内のグループ各社の受注や出荷、コールセンターの業務が、システム障害によって停止していた。同社は緊急事態対策本部を立ち上げ、「お客さまへの商品の供給を最優先業務と位置づけ、部分的に手作業での受注を進め、順次出荷を開始しています」と説明した。

 ただ、今回のサイバー攻撃は、ランサムウェア攻撃であり、復旧までに時間がかかることが分かった。各メディアでもアサヒの出荷が滞る可能性が報じられ、混乱が広がった。

アサヒグループホールディングスのサイバー攻撃被害が拡大している(画像提供:ゲッティイメージズ)

 ランサムウェア攻撃が日本で問題視されるようになったのは、2015年頃だ。それから10年たったが、今も世界でランサムウェア攻撃は猛威を振るっている。

 ランサムウェア攻撃では、攻撃者が企業などの組織に不正アクセスして、サーバやシステム、PCを勝手に暗号化して使えなくしてしまう。そして不正アクセスを成功させた際に、攻撃者はシステムから組織の内部情報を大量に盗み出しており、身代金を払わない場合はその情報を公開すると脅迫する。

 アサヒグループのケースでは、10月7日にロシア系のサイバー犯罪組織である「Qilin(キリン)」が犯行声明を発表した。同組織は、アサヒから盗み出した内部情報9323ファイル(27ギガバイト)の一部を公開。アサヒに身代金を要求していると見られる。

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