「年間利用額700万円を超える方に向けたカード」──三井住友カードの伊藤亮佑執行役員は、Visa Infiniteの位置付けをこう繰り返した。年会費9万9000円で継続特典が最大11万円分。一見すると年会費を上回る還元が受けられる設計だが、これを手にするには年間700万円の利用が条件となる。
三井住友カードが展開する個人向けのプラチナクラス以上のカードは3種類ある。基本還元率で見ると、プラチナプリファードとプラチナ、Visa Infiniteのいずれも1%だ。しかし、決定的な違いは年間継続特典の設計にある。
ゴールドは年間100万円の利用で1万円相当のVポイントが付与される。プラチナに継続特典はなく、プラチナプリファードは100万円刻みで1万円分のポイントが加算され、上限は400万円で4万円分だ。
それに対して、Visa Infiniteは年間400万円の利用で4万円分、700万円で11万円分のポイント付与という2段階の構成になっている。
この構造が、利用額によって最もお得なカードが変わる理由だ。プラチナプリファードは100万円刻みで確実に還元が積み上がる。一方で、Visa Infiniteは700万円に到達して初めて大きな還元を得られる。
年会費の差を考えると、700万円を下回る利用では、プラチナプリファードの方が実質的な還元は大きい。
つまり、Visa Infiniteは「700万円を超える人向け」のカードなのだ。なぜあえてこのような高いハードルを設けたのか。そこには単なる経済合理性を超えた、同社の戦略的な意図があった。
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