700万円以上使う“超富裕層向け”カード? 三井住友カードが最上位で仕掛ける“二兎追い”戦略「ポイント経済圏」定点観測(2/5 ページ)

» 2025年10月14日 06時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

700万円の壁

 「年間利用額700万円を超える方に向けたカード」──三井住友カードの伊藤亮佑執行役員は、Visa Infiniteの位置付けをこう繰り返した。年会費9万9000円で継続特典が最大11万円分。一見すると年会費を上回る還元が受けられる設計だが、これを手にするには年間700万円の利用が条件となる。

伊藤執行役員(筆者撮影)

 三井住友カードが展開する個人向けのプラチナクラス以上のカードは3種類ある。基本還元率で見ると、プラチナプリファードとプラチナ、Visa Infiniteのいずれも1%だ。しかし、決定的な違いは年間継続特典の設計にある。

 ゴールドは年間100万円の利用で1万円相当のVポイントが付与される。プラチナに継続特典はなく、プラチナプリファードは100万円刻みで1万円分のポイントが加算され、上限は400万円で4万円分だ。

年間利用特典(筆者作成)

 それに対して、Visa Infiniteは年間400万円の利用で4万円分、700万円で11万円分のポイント付与という2段階の構成になっている。

 この構造が、利用額によって最もお得なカードが変わる理由だ。プラチナプリファードは100万円刻みで確実に還元が積み上がる。一方で、Visa Infiniteは700万円に到達して初めて大きな還元を得られる。

 年会費の差を考えると、700万円を下回る利用では、プラチナプリファードの方が実質的な還元は大きい。

 つまり、Visa Infiniteは「700万円を超える人向け」のカードなのだ。なぜあえてこのような高いハードルを設けたのか。そこには単なる経済合理性を超えた、同社の戦略的な意図があった。

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