この700万円という壁の意味を理解するには、三井住友カードが展開する3つのプラチナクラスの位置付けを見る必要がある。
年会費5万5000円の従来のプラチナカードは、コンシェルジュサービスや空港ラウンジなど、体験価値に軸足を置いてきた。ステータスと非日常の体験を求める層にはこれが響く。
しかし、同社は2020年、プラチナプリファードという異なるコンセプトのカードを導入した。年会費は3万3000円に抑え、100万円刻みで確実にポイントが貯まる、経済価値を前面に打ち出したカードだ。「何千万も使われる方もおり、それでもプラチナプリファードを使ってくれている」と、伊藤氏は語る。
このカードの導入により、高額利用者の中にも経済合理性を重視する層が確実に存在することが分かった。
その一方で、同社が着目したのが、合理性を求めながらも、体験価値への関心も高い「デジタル富裕層」と呼ばれる新たな顧客層だ。
今回のVisa Infiniteは、この層に向けて設計されている。基本還元率1%とSBI証券でのクレカ積立最大4%という経済価値に加え、Visaが提供する世界的スポーツイベントへの招待、一流シェフによる特別ダイニング、国内主要ミュージアムの入場無料パスなど、体験価値も充実させた。「経済価値と体験価値、どちらも妥協せずに最大限享受していただきたい」という思想の下、カードは設計された。
体験重視のプラチナ、経済重視のプラチナプリファード、そして両方を追求するVisa Infinite。3つのカードはこうして、それぞれ異なる富裕層に対応する。だが、Visa Infiniteに設けられた年間700万円という条件は、単なる経済的な設計以上の意味を持っている。
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