例えば、スシローの件で考えれば分かりやすい。もしペロペロ少年に6700万円の損害賠償を巡ってガチンコの法廷闘争を繰り広げたら、当初は株主も世論も拍手喝采になるだろう。しかし、すぐにまともな株主からは「おいおい、こんな裁判やらないほうがよかったんじゃない?」という声が上がるはずだ。
「迷惑動画によって売り上げが落ちた」というスシロー側の主張を巡って、原告・被告双方が争うので、そこではさまざまな主張、データ、証拠が提出される。それはつまり、スシローにとってあまり言われたくないこと、世間の注目を集めたくない問題なども裁判という公の場で全てさらされてしまうのである。
例えば、少年がしょうゆ差しをなめる動画が拡散される前から、スシローはすでに顧客の信用を失い、客足が落ち込んでいた。
2022年6月の「おとり広告」騒動以降、不祥事が立て続けに起きていたからだ。同社の2022年第3四半期決算説明資料(2022年8月発表)にはこんな説明がある。
景品表示法に係る措置命令を受け、お客さまの信頼を失う事案を発生させてしまった事により客数が減少し、売り上げが想定を大幅に下回る結果となった。
つまりこの当時、スシローは自業自得的なダウントレンドの真っ只中にいたのだ。そこに「ペロペロ少年騒動」が起きて、泣きっ面に蜂で気の毒ではあるが、店の入りの悪さを全てこの騒動のせいにするのは、さすがに強引ではないか。そんな反論をペロペロ少年側の弁護士はやってくるはずだ。他の外食チェーンで起きた問題を踏まえれば、これは必ずしも荒唐無稽な主張ではない。
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