例えば丸亀製麺では2023年5月、新製品「シェイクうどん」に生きたカエルが混入するというショッキングな画像がSNSを駆け巡りマスコミも大きく報じたが、6月の既存店客数は前年同月比100.2%で、売り上げ高も同108.2%となっている。しかも、ネガティブイメージが付くはずの「シェイクうどん」は騒動があったにもかかわらず、7月末までの約2カ月半で販売累計250万食を達成している。
「ネズミの入った味噌(みそ)汁」というショッキングな写真が出回って、情報開示を2カ月先延ばしにして炎上した「すき家」も、客足が低迷したのはわずか1カ月間だった。これら2件は厨房のオペレーションや衛生管理に問題があったため、全国の店舗に悪影響が出たが、それでも売り上げの影響は限定的だった。
「大騒ぎになったのだから、6700万円くらい当然だ!」という意見もあるだろうが、大騒ぎにした「主犯」は、あの迷惑動画を朝から晩まで流して「これは大問題ですね」と大騒ぎしていたマスコミだ。
なぜ「罪」としてはそれほど変わらない「しょうゆボトルなめ女」が大騒ぎになってないのかというと、単に「高市首相誕生」のほうを大騒ぎしているからにすぎない。
つまり、ペロペロ騒動でスシローが負った損害というのは、マスコミによる「報道被害」でもあるのだ。このような構造的問題もある中で、裁判所が「少年1人が一生賭けて6700万円を償うべし」と判断するのはかなりビミョーだ。場合によっては、賠償金もかなり減額される可能性もあった。
危機管理上「最悪」なのは、こちらが予想した判決が出なかった場合に、それがマスコミに大きく報じられ、なおかつ「判例」として記録されてしまうことだ。
つまり、このようなケースでの損害賠償請求というのは、株主対策や世間の留飲を下げ、一時的なイメージアップになる一方で、法廷闘争の進め方や判決の内容によっては大きなレピュテーションリスク(企業の信用が低下する危険)になるのだ。
この「法廷闘争の逆効果」を身をもって味わっているのが「くら寿司」だ。これこそが同社が損害賠償請求までいかないと考える理由の(3)である。
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