先ほど申し上げたように、ペロペロ少年騒動のときはSNS上の「一生賭けて償え!」という懲罰感情の盛り上がりを受けて、ワイドショーのコメンテーター、タレント弁護士、ジャーナリストやらが、「スシローは損害賠償請求するのは当たり前」「再発防止のためにも厳しい対応をせよ」の大合唱をしていた。
しかし、今回あれほど大騒ぎをしていた人々は「ああ、そんなこともあったね」という感じで黙りこくっている。スシローが損害賠償をサクッと取り下げたことで、当時の予想がハズレてなんとなくバツが悪いということもあるが、何よりもネットやSNSがペロペロ少年のときほど盛り上がっていないからだ。
企業で危機管理に携わる全ての人は肝に銘じておいていただきたいが、これがマスコミ、ジャーナリスト、評論家、インフルエンサーと呼ばれる人々の主張や提言の「本質」である。厳しいことを言わせていただくと、傍観者の立場で「いいね!」が多くもらえるよう、あおるだけあおって、その後どうなろうとも知ったこっちゃないという無責任スタイルなのだ。
そうしたスタンスで発信する人々の「主張」や「提言」は、あまりうのみにしないほうがいい、ということは説明の必要もないだろう。
危機管理に携わるビジネスパーソンは、マスコミ報道やインフルエンサーの「扇動的な発言」に惑わされることなく、二手先、三手先まで考えて行動していただきたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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