このような「法廷闘争の逆効果」を身をもって経験した「くら寿司」が、今回の「しょうゆボトルなめ女」を相手に、巨額の賠償請求を行う選択をするだろうか。
くら寿司が6月13日に発表した2024年11月〜2025年4月期の連結決算によれば、期初から4月までの既存店売上高は3%減、客数は5%減っている。原材料の高騰や大阪・関西万博の広告宣伝費などがかさんで、純利益も前年同期比50%減の19億円だった。
こんな経営環境で「しょうゆボトルなめのせいで客足が減ったので損害賠償せよ」という主張が、全面的に認められるのかは未知数だし、判決や控訴のたびに、あの動画が蒸し返されるなどレピュテーション低下も甚だしい。個人情報がさらされ、ネットリンチに遭っている女子高生とその家族を、巨額の賠償請求で追い込んだ場合、彼らがどのような行動を取るかも分からない。まともな株主だったら「いやいや、女子高生のほうは警察に任せて経営に集中してよ」という要望になるのではないか。
さて、いろいろ好き勝手言わせていただいたが、訴訟うんぬんとは別に、今回の「しょうゆボトルなめ女」騒動は、企業危機管理担当者にとって非常に重要な教訓を与えてくれている。
それは「マスコミやネットの感情的な主張に惑わされて判断ミスをしてはいけない」ということだ。
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