本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。
日本でステーブルコインの利用が始まった。
日本でまずステーブルコインを発行するのは、フィンテック企業のJPYCだ。同社が「JPYC(ジェーピーワイシー)」という暗号資産を扱う。ステーブルコインと言われてもピンと来ない人も多いと思うが、要は、1JPYC=1円で交換可能な暗号通貨のことである。
ビットコインなどの一般的な暗号資産は交換の値段が非常に不安定で、支払いなどには不向きだった。それを価値、つまり価格を固定した「ステーブル」(安定した)な「コイン」(暗号通貨)にすることで、電子決済の手段として使いやすくなる。ブロックチェーンを利用するので、低コストで高速な送金が可能になる。
そんな便利さと使いやすさを売りとするステーブルコインだが、世界的に見ると、課題も存在している。
そもそも匿名性の高い暗号通貨は、犯罪に使われやすいことが問題になってきた。ただ、暗号通貨は価値が不安定なために、暗号資産をだまし取る犯罪者も、一般人と同じように仮想通貨の市場リスクにさらされる。違法に得た暗号通貨を換金する際に、損をする可能性があるのだ。そのため、彼らにとってもステーブルコインは魅力的な暗号通貨となる。
日本での利用開始に合わせて、改めてステーブルコインの課題について考察してみたい。
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