入社3年目で身につけた「前提を整理し、論点を明確にする」という習慣。それが形になったのが、社長賞の受賞だった。金子さんは2023年度、端末の分割払いの仕組みを刷新した案件で社長賞を受賞した。
従来、48回分割払いは毎月同じ金額を払う「均等払い」しかなかった。金子さんはこれを見直し、前半24回と後半24回で異なる金額を設定できる仕組みを考案した。これにより、顧客のライフスタイルに合わせた柔軟な設計が可能になった。
「今の仕組みがなぜこうなっているのか、必ず深掘りするようにしています。前提を疑って考えると、『実は別のやり方もあるんじゃないか』という発想が出てくるんです」
2025年度に、20代で2度目の社長賞を受賞した。電気通信事業法の改正に対応しながら、顧客の負担を抑える仕組みを構築し、「前提に囚われない発想力」がこの年も高く評価された。
社長賞を2度受賞した金子さんだが、こうした成果は一人で生み出したものではない。チームの力があってこそだ。
金子さんのチームは現在3人構成。10年以上のキャリアを持つベテラン社員と、入社3年目の若手社員がメンバーだ。28歳の金子さんが、年齢も経験も異なる2人をまとめる立場にある。金子さんは、どのようにチームを動かしているのか。
「ただタスクを振るのではなく、『何のために必要なのか』『最終的に何を目指したいのか』、背景と目的をあわせて伝えるするように心掛けています。背景と目的を共有すれば、メンバー自身が考えて自走できるようになる。結果として、チーム全体の成長にもつながると思っています」
また、メンバーへの接し方は、相手によって意識的に変えているという。
若手には、経験が浅い分野でも積極的にタスクを任せる。その際、「ここを見るとこういう情報が載っている」など、情報の集め方も含めて丁寧に伝えるようにしている。
一方、ベテラン社員に対しては、まず意見を聞くことから始める。経験豊富なメンバーの視点から学ぶことは多い。相手の意見を受け止めた上で、目的に照らし合わせながら方向性をすり合わせていくという。
関係部署との連携でも、同じ姿勢を貫いている。相談内容だけでなく、「なぜその施策が必要なのか」「いつまでに実現したいのか」を伝える。そのとき、「熱意を持って」話をするのが、金子さん流だ。そうすることで、開発担当者から「その目的なら、こういうやり方もできますよ」と、想定していなかった選択肢が返ってくることがあるのだそうだ。
タスクの背景を共有し、メンバーや関係者の力を引き出す。その姿勢が、チームとしての成果を支えている。
チームをまとめ、社長賞を2度受賞した若手リーダーの金子さん。今後のキャリアについても聞いてみた。
「今は、目的に対してどういうアプローチをとるかを考える立場です。でも将来的には、会社の方針に対して『部門としてどういう戦略を描くか』を考える役割にも挑戦したいと思っています」
金子さんが手掛ける端末の購入支援や下取りサービスは、設計を少し変えるだけで顧客の負担額が大きく変わる領域だ。だからこそ、責任は重い。
「お客さまの利便性と、事業としての持続性。その両方のバランスを取りながら、より精緻な仕組み作りに取り組んでいきたいです」
大学時代に思い描いた「生活者の行動に影響を与える仕組み作り」。金子さんは今、まさにその仕事に携わっている。
前提を疑い、論点を明確にする──。「負けず嫌い」から生まれた武器を生かし、28歳のリーダーはすでに次のステージを見据えていた。
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