人口が減る街に「イオンモール」は必要か 日本の経済予測が”大甘”になりがちな理由スピン経済の歩き方(2/7 ページ)

» 2026年01月28日 09時24分 公開
[窪田順生ITmedia]

「廃墟モール」になってしまう恐れ

 国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口が1億人を切るのは2056年だと指摘されていたが、最近の出生率の落ち込み具合がハンパなく、いまのペースが続けば、2043年に1億人を切るとの予測も出てきた。しかも、この時期には人口が最も多い「団塊ジュニア」がごそっと高齢者になる。

 その結果、医療・年金といった社会保障給付が爆発的に膨れ上がって、現役世代の負担がすさまじく重くなる。当然、消費は落ち込む。そうなると「イオンモール伊達」の活況がいつまで続くのかも疑わしい。商圏内の自治体は福島市を除くと、伊達市、桑折町、国見町はいずれも「消滅可能性自治体」だからだ。

 こうした状況を踏まえると、2026年下期にできるイオンモール伊達は、オープンから14〜15年ほどで「廃墟モール」になってしまう恐れもあるのだ。

「イオンモール伊達」中央吹抜けイメージ

 「そういう縁起の悪いことを言うんじゃない! イオンモールができれば周辺に新住民が増えて、伊達市の活性化につながって人口減少シナリオを覆せるかもしれないじゃないか」というお叱りを関係者から頂戴しそうだが、もし瞬間風速的に人口が増えたとしても、それは近隣地域からの転入に過ぎない。

 つまり、近くにある別の地域から「ファミリー層」など若い人を奪ってくるだけなので、広域全体で見ると「衰退」には歯止めがかからないのである。それどころか、住民を奪われた側の「急激なゴーストタウン化」を引き起こすなど、地域への悪影響のほうが大きい。

 その典型例が、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」だ。つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」周辺では、柏市と東京大学、千葉大学、国立がん研究センターなどの研究機関、さらに三井不動産といった民間企業が連携し、地域課題の解決を目指す「まちづくり」プロジェクトが進められてきた。その一環として、「ららぽーと柏の葉」をはじめとする大型商業施設や高層マンションが相次いで整備され、新住民がたくさん移り住んだ。

 ただ、人口減少社会でこういう急激な「一極集中」が進めば当然、急激な「副作用」も生まれる。柏市議会の松本寛道市議はこう語る。

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