だから、もう突き進むしかない。2028年夏にはエスコンフィールド直結の新駅が開業し、同年9月にはエスコンフィールドを見下ろせる、高さ約130メートル・36階建てのタワーマンション「(仮称)北広島市新駅タワープロジェクト」も完成する。総戸数は約500戸を予定している。
2028年にタワマンを購入し、優雅な暮らしをしてボールパークを見下ろしても、周辺は人口減少が進んで、約20年後には北広島市の人口が1万3000人も減少している。地元メディアは「北広島市がどんどんにぎやかに生まれ変わる」などともてはやしているが、こうした「未来」に触れないのは、不誠実ではないのか。
……といろいろ厳しいことを言わせていただいたが、この「人口減少下でのハコモノ開発推進」はもはや打つ手はなく、これからさらに加速していくことは間違いない。
高市政権は「責任ある積極財政」を掲げているし、ほぼ全ての野党が「消費減税」と言い出した。本来、人口減少国家は人口増時代の非効率な産業構造や慣習を見直して生産性を上げていくしかないのだが、日本の政治はそれをやらずに人口増時代のようなバラマキでこの窮地を乗り切ろうとしている。そして、それを多くの国民が支持している。
「資源や物資がなくても、気合があれば戦争も負けない」という数字にめっぽう弱い国民性なのでしょうがない部分もあるが、一部の人たちの「皮算用」もある。
国が積極財政を進めれば、企業は稼げるチャンスが広がるのでウハウハだ。さいたま市が「人口減少対策」を名目に進める地下鉄延伸のような巨大プロジェクトにも、今後さらに公的資金が投じられていくだろう。株価が上がっていることからも分かるように、積極財政は一部企業にとって「現ナマつかみ取り」のボーナスチャンスなのだ。
ただ、どういう理屈をこねたところで、この放漫財政のツケは全て今の子どもや若者世代、そしてこれから生まれる赤ん坊に背負わされるのは事実だ。
「経済成長を目指すのに財政論なんか持ち出すな!」といくら日本で騒いでも、円安・債券安が進んでいるように、残念ながら世界はそういう理屈に合わせてくれないのだ。
30年後、われわれが老人になったとき、杖をついて街をヨロヨロと歩いていると、後ろから若者たちから舌打ちとともに、こんな恨み節が聞こえてくるかもしれない。
「オレたちの社会保険料がバカ高いのも、ああいうジジイたちが積極財政ブームにのめり込んだせいなんだってよ。借金あって人口が減っているのに、カネをバンバン使えば経済成長するって、どんだけ数字に弱いんだよ」と。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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