コロナ禍でパフォーマー警備員の需要がなくなったため、その目的で採用したメンバーにも、他のメンバーと同じように通常警備の仕事を依頼した。派手な衣装もパフォーマンスもない警備の仕事を、なぜパフォーマー警備員たちは続けられたのか。
「彼らに会うたびに、私のビジョンや思いを話してきたので、それが大きかったのではないかと思います。私は社長という立場ですが、事あるごとにみんなに相談に乗ってもらってきたので、みんなで作り上げた会社という意識を持ってくれているのだと思います」と梶屋氏は当時を振り返る。
コロナ禍でパフォーマー警備員の仕事はなくなったが、良い効果もあった。アフターコロナに向けて、パフォーマンス技術を向上させるトレーニングに充てることができたのだ。
「パフォーマー警備員としての差別化をあらためて考えました。もちろん、みんな各々のパフォーマンスをしてくれるのですが、踊りの経験があるわけではないので、基礎となる踊りは教えてもらった方がいいだろうと思い、プロのダンサーに振付を考えてもらいました」
誘導灯の振り方といった警備の基本的な動きを踏まえたパフォーマンスを考えてもらい、ダンススタジオでレッスンを受けた。動画を見ながら各々が復習し、自分のスタイルを作り上げていった。
コロナ禍が収束し、イベントが少しずつ戻ってくるにつれ、パフォーマー警備員の需要も生まれ始めた。最初の依頼は2022年11月、エクステリアメーカー(住宅の屋外空間を構成する部材・製品を製造・販売する企業)が、同社の顧客や地域住民を招いて、ワークショップを実施するイベントだった。駐車場での誘導業務やイベント会場までの案内業務などを担当した。
そこでのパフォーマンスを交えた警備が注目され、企業のイベントの仕事が2023年ごろから増えていった。交通整理や案内業務以外にも、車と子どもの接触事故が起こらないような目配りや、イベント会場に出店しているキッチンカーに人が並びすぎている場合の列の管理など、業務は多岐にわたる。
「ボランティアスタッフの方もいらっしゃいますが、人が多い場所では抑止力が弱い場合もあります。パフォーマー警備員が待ち時間を楽しくするだけでなく、抑止力としての機能も果たせていると思います」
パフォーマー警備員が広告塔となり、仕事の依頼が入ることも少なくない。通常警備よりも2割ほど高い単価だが、リピーター率も高いという。とはいえ、売り上げ構成比で見ると通常業務が9割を占めており、まだまだパフォーマー警備の認知は低い。
求人に対する効果も多少はあるようだが、募集をかけても応募者が少ない点は課題だという。一方「人材定着率は高い」と、梶屋氏は自信を見せる。20代から80代まで幅広い年齢層が働いているというが、どのような工夫をしているのか。
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