「警備の仕事は楽なものではないと思うんですよね。時間も不規則で拘束時間も長いですし、夏は暑くて冬は寒い。『他で働けないからしょうがなく働いている』というイメージを業界に対して持たれている人もいるのではないかと思います」
過去には、親から「警備の仕事なんて辞めなさい」と言われ、退職した社員もいたという。警備に対するネガティブなイメージを払しょくし、社員がプライドを持って仕事ができるように、SHOWYAでは月に1回、勉強会を実施している。基本全員参加の勉強会で、ノウハウの共有や読書会などが主なコンテンツだ。
普段の警備業務における疑問や特定のシチュエーションでの対処方法など、聞きたいことを持ち寄り、全員で意見を出し合う。「迷子の子どもがいるときに、持ち場を離れるのはいいのか」「落とし物を見つけたときに拾ってもいいのか」など、イレギュラーな対応も含め、ノウハウを共有している。
イベントが増える1〜3月を「雑踏フェア」と名付け、重点的に警備業務における勉強や動きの練習、大きい声を出すための発声練習などに取り組んでいるという。
読書会では、梶屋氏が選んだ「人間学」に関する書籍の内容の一部を事前に配布し、それを読んだ上での感想文を社員が発表する。同じ記事に対する考え方や価値観を知ることで、仲間意識を高める狙いがある。
「現場業務だけでは分からない相手の人柄や思考などを知ることができます。警備はチームで動く仕事なので、お互いをよく知ることが仲間意識を育てたり、仕事にプライドを持てたりするために必要だと考えています」
現在、SHOWYAは警備の仕事だけでなく、ボディーガードや農業にも事業を拡大させている。ボディーガードは近い領域だが、農業は全くの異業種。どのような観点で事業拡大を考えているのか。
「ボディーガードに関しては、3〜4年前から要人の警護という意味で需要はありそうだなと考えていました。事業運営のための認定は取得したのですが、『誰を雇えばいいの?』というところで採用は止まっていました」
そこからたまたま格闘技の元選手の方と知り合う機会に恵まれた。ボディーガードの相談をしたところ、「そういう仕事を探していたが、どこに行けば雇ってもらえるのか分からなかった」と言われ、採用に至った。
すでに2件ほど仕事が入っており、画家の個展のボディーガードや子どもの通学の付き添いといった個人利用の需要があることが見えてきた。
農業については、警備業務の閑散期を埋める狙いもあるが、「昨年、米不足の問題が大きく取り上げられましたよね。自分たちの代はなんとかなると思うのですが、子どもや孫の代を考えたときに、小さいことでも自分でできることはないかと考えたのがきっかけでした」と梶屋氏は話す。
SHOWYAを7年間続ける中で生み出した利益で、次の世代に残せることをしたいと考えた。農地を取得し、雑草が生い茂っていたところを開墾。現在は、さまざまな種類の野菜を植え始めたところだ。
今後は、その土地にどんな農作物が合うのか、最終的にどの農作物で利益を出していくのか、試行錯誤を重ねていく。警備の仕事は4月から閑散期に入るが、農業は同時期から繁忙期に入る。そういった意味でも相性がいい事業ではないかと、梶屋氏は期待を込める。
警備という仕事に、楽しさと誇りを掛け合わせる。赤い衣装で踊るその姿は、単なるパフォーマンスではない。常識とされてきた業界の枠を少しずつ広げながら、SHOWYAは「警備の価値」を塗り替えようとしている。
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