リテール大革命

Amazonの相次ぐ「リアル店舗撤退」が示す 「PoC→いつの間にか撤退」を繰り返す日本企業との"仕組みの差" がっかりしないDX 小売業の新時代(4/6 ページ)

» 2026年02月27日 06時00分 公開
[郡司昇ITmedia]

数値で語る撤退判断 Amazonの検証基盤

 Amazonの意思決定のもう一つの特徴は、撤退判断を支える具体的な数値の存在です。

 一例として、Dash Cartの利用効果数値(10%の買上増、98%の顧客満足度、80%超のリピート率)は、Amazonが自ら公表したものです。この数値があるからこそ、「Fresh店舗のJWOをDash Cartに切り替える」という判断が社内外に説明可能になる。数値が先にあり、撤退判断がその帰結として導かれるのです。

 もう一つの特徴は、前編で詳述したFreshの実店舗スーパーマーケットとしての撤退と、Whole Foods集中投資を同時に示した判断です。Go、Freshの撤退は食品小売からの撤退ではなく、「自社ブランドの実験店舗」という手段の撤退でした。

 同じ公式発表の中でAmazonは、自社の食料品事業の現在地を数値で明示しています。

  • (自社マーケットプレイスでのサードパーティ経由を含む)流通総額1500億ドル超
  • 購買顧客は年間1億5000万人超
  • 「同日配送を含む米国5000超の都市・町」で食料品配送網を展開
  • 同日配送サービスにおける生鮮食料品の売り上げは2025年1月比で40倍に成長し、生鮮食料品が注文数上位10品目のうち9品目を占める

 100店舗以上のWhole Foods新規出店計画、イリノイ州の22万9000平方フィート(約2万1300平方メートル)の新業態、Whole Foods Market Daily Shopの拡大といった次の一手は、これらの数値から導かれたものです。

 「何をやめるか」と「何に集中するか」を同時にデータで示せることが、データに基づく意思決定というAmazonの組織文化を象徴しています。

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