川本氏が飲食領域でビジネスを展開するのはこれが初めてではない。大学時代、シコメルフードテックの共同創業者である西原直良氏と、飲食店の仕入れ代行ビジネスを始めた。
「店主さんが毎日仕入れに行くのが大変というのと、各店舗の仕入れ先が重複していることも多いんですよね。なので、1店舗500円で仕入れ代行を引き受け、3店舗分まとめて仕入れて1500円みたいなことを最初はやっていました」
その後、輸入卸業を展開。韓国から輸入した唐辛子の粉や、ベトナムから輸入した春巻きの皮を飲食店に卸した。最終的には食品工場を建設し、飲食店から依頼があった商品を製造した。事業は順調で、これまで関係を築いてきた飲食店からの引き合いもあった。
「ある時、自分たちでコツコツと工場を増やしていっても、飲食業界に貢献できる会社を作るとなると、人生3周くらい必要になってしまうと気付きました。西原はその工場の社長を続けるかたちで、私は『急成長して、儲(もう)かっている会社を見てきます』と言って、新卒でリクルートに入社しました」
リクルートでは事業部長にまで上り詰めた。さまざまな事業に触れる中で、成功確率の高いビジネスの型が見えてきた。西原氏とは年に1〜2回、近況報告や新規事業、人材育成の話をする程度だったが、2018年に転機が訪れた。
その転機とは、ネット印刷のラクスルの上場だ。同社の、ネットを通じて「印刷したいユーザー」と「提携する全国の印刷会社」を最適にマッチングさせる事業を見て、もしかしたら「食品会社をクラウド上に束ねてマッチングする」ことができるのではないか――と西原氏は考え、川本氏と2人で2019年12月にシコメルフードテックを共同創業した。
そこから西原氏の会社の仲間や、川本氏のリクルート時代の先輩などを集めて具体的に構想を練り始めた。そこで生まれたのが、飲食店の料理の仕込み代行サービス「シコメル(現シコメルOEM)」だ。
仕組みとしては、まずシコメルフードテックが、顧客となる店舗から仕込みを代行するメニューのレシピを受け取る。その味を社内のキッチンで再現したのち、提携工場に製造を依頼。店舗側は専用のアプリで、必要な量の仕込み済み食材を選択するだけで、最短翌日に店舗に届くという流れだ。仕込み時間を大幅に削減できるため、店舗側は新メニューの開発などの売り上げにつながる活動に充てることができる。
多くの飲食店で必要不可欠な「仕込み」というプロセスに着目した独自性の高いビジネスだが、2020年9月のサービスローンチ時はコロナ禍真っ只中。逆風吹き荒れる飲食業界において、どのように事業を伸ばしていったのか。
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