大企業出身者が中小企業に転職しても、1年以内に辞めてしまうケースが後を絶たない。当社ではこれを「中小企業アレルギー」と呼んでいる。
大企業と中小企業では何が違うのかと聞かれれば、「ほぼ全部」としか答えようがない。
人材の質が違う。資料もマニュアルもそろっていない。残業代が出ない。PCは全員バラバラで、クライアントを迎える打ち合わせスペースも空きがない。
大企業では当たり前だったものが、ことごとく存在しない世界である。100個比較したら、大企業と中小企業で共通するのはせいぜい5個くらいしかないだろう。
さらに厄介なのは、中小企業特有の変化のスピードだ。
生き残りに必死な中小企業では、業務内容が毎月のように変わるケースも珍しくない。12月に「営業部長として5人の部下をマネジメントしてほしい」と言われて4月に入社したら、「営業社員が3人退職してしまった。残った2人のマネジメントと、自ら営業をやってほしい」ということが平気で起こる。
大企業では起こりにくい、こうした変化に適応できず、アレルギー反応のように拒絶してしまうのが早期離職の正体である。
1社目を中小企業アレルギーで退職したら、その後どうなるのか。
大企業には戻れないので、結局は別の中小企業に転職することになる。半年ほどのブランクを経て、やっとの思いで2社目に入ったとき、2つの変化が起きる。
1つは現実的な制約だ。「これを辞めてまた無職の期間が続いたら、60代半ばになってしまう。もう辞められない」という切迫感が生まれる。
もう1つは、認識の根本的な転換である。2社目の中小企業も、1社目と何も変わらない。「中小企業はどこもこうなんだ。自分が生きてきた大企業の30年間が特殊だったんだ」と、この認識に到達して初めて、新しい環境を受け入れられるようになる。
言い換えれば、この気付きを転職「前」に持てるかどうかが、1社目での生存率を大きく左右する。「諦め」ではなく「理解」として、大企業の外の世界を事前に知っておくことが決定的に重要なのだ。
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