1990〜2010年代はデフレの時代であり、さほどの物価高騰がなかったため、運賃を改定せずに済んでいたと見る方が妥当だろう。それが近年は一転してインフレ局面となり、鉄道会社も値上げという形でコスト増を転嫁せざるを得なくなった。こうした背景を踏まえず、単に「出費が増えた」と捉えるだけでは十分とは言えない。
今回の運賃改定では、運賃や料金の収受ルールを定めた「旅客営業規則」も見直された。これは鉄道営業法に基づき、各社に制定が求められているものだ。
改定前、JR東日本の運賃体系は、キロ当たりの単価が安い順に「山手線内」「電車特定区間」「幹線」「地方交通線」の4区分に分かれていた。今回、「山手線内」「電車特定区間」は廃止され、「幹線」「地方交通線」の2区分に整理・統合された。これに合わせて、旅客営業規則も改定された。
この見直しにより、これまで比較的安く設定されていた首都圏の運賃は、値上げ幅が大きくなった。幹線の普通運賃は4.4%、地方交通線は5.2%の引き上げにとどまったのに対し、旧山手線内(山手線とその内側に当たるエリア)は16.4%、旧電車特定区間(おおむね大船、高尾、大宮、取手、千葉より内側のエリア)でも10.4%の値上げとなった。
特に山手線内の通勤定期運賃が22.9%の値上げとなり、影響が大きい。これに対し、幹線や地方交通線の通学定期は据え置かれた。ローカル線にとって高校生の通学利用は重要な収入源であり、利用者確保による路線維持や教育面への配慮が背景にあるとみられる。
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