目的によって、物件を購入するエリアの使い分けにも特徴が見られる。
居住目的の場合、基本は観光などで泊まったことがあるホテル周辺や知人が住んでいる場所といった、自分たちに「土地勘」のあるエリアを選ぶ。自ら来日して利用することを前提としているため、空港へのアクセスや風水なども重視するという。
「東京や大阪は資産の安定性を求める層、福岡や熊本はTSMC進出に伴う投資リターンを狙う層。ちなみに熊本を検討する層は、比較対象が東京ではなく、同じくTSMCが進出した米アリゾナ州フェニックス市内が検討にあがります。層によって、狙うエリアも考え方も異なるのです」(林さん)
不動産価格が高騰する要因として、短期売買が懸念されるが、林さんは「構造上、日本の不動産は短期転売には向いておらず、それを理解した上で購入する層がほとんどです」と指摘する。
日本の税制では、土地や建物を売ったときにかかる譲渡所得税は、その所有期間によって税率が変わる。所有期間が5年以内の場合、「短期譲渡所得」となり30%の税率が課されるが、5年を超えると「長期譲渡所得」となり税率は15%となる。
一律の法人税率が適用される法人名義での取得であれば、短期売買を行うケースも考えられるが、個人投資家の多くは最初から5年以上の長期保有を前提に動いているという。
日本の不動産に関心が集まる理由について、「文化的に成熟し、かつ住みやすい環境もそろっています。LCCの普及で日本各地へより気軽に行けるようになったのも大きいですね」と林さんは話す。
さらに「震災時の助け合いで日台双方の好感度が高まり、日本が台湾の人々にとって安心して拠点を置ける選択肢になっている」とも指摘する。
日本人にとっては「高すぎる」と感じる東京のマンション。しかし、海の向こうから見れば、それは依然として「安定した資産」に映っている。
価格高騰の正体は、単なるバブルではなく、日本の不動産が持つ“相対的な価値”の裏返しなのかもしれない。
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