両者はいずれも「低価格帯」で「和食」という要素で共通している。
まずすかいらーくの価格帯について確認しよう。これまで低価格帯であったブランドが高付加価値メニューの追加や値上げにより中価格帯まで上がってきた背景がある。例えば、ファミレスのガストはどちらかといえば低価格帯で推移していたが、足元におけるガストの客単価は約1200円程度と、グループ内の平均的な価格帯まで上がってきた。
物価高で実質賃金が目減りしている消費者に対し、通常よりも数百円安く食事が済ませられるブランドを提供することで、事業規模を拡大させたい狙いがうかがえる。
次にすかいらーくの主力ブランドを見渡すと、実は「日常的な和食」が薄いことが分かる。主力ブランドはガスト(洋食)、バーミヤン(中華)、ジョナサン(洋食)など、洋食や中華がメインだ。
和食はしゃぶ葉や夢庵ブランドがあるが、しゃぶ葉の価格帯はグループ内でも高い部類に属する。夢庵は2020年の188店舗から足元では174店舗まで減少しており、近年の人気はやや下り坂といえる。
すかいらーくは株式取得の理由を「ブランドポートフォリオの拡充」「グループシナジーの創出」などと説明している(出所:すかいらーくホールディングス「株式会社しんぱちの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」)ここに新たな和食カテゴリーを増やすことで、グループ全体のバランスを調整したい狙いがうかがえる。
すかいらーくHDの時価総額は7800億円にも達している。
これほどの規模があれば、低価格の和食業態を社内で開発することも不可能ではなさそうだが、なぜM&Aを選ぶのだろうか?
それは、新業態を自前で開発・検証・拡大するには通常3〜5年と膨大な工数がかかるからだ。一方で、お金を出せば、資さんうどんやしんぱち食堂のような、すでに市場で実証済みのブランドとその顧客基盤を手に入れられる。
すかいらーくHDは同社の中期計画で、2027年12月までに国内で300店規模の新規出店を目標に掲げており、このスピード感で品質の高い店舗を出店するにはM&Aが不可欠なのである。
買収価格については、資さんうどんに約240億円、しんぱち食堂に約110億円。投資家の一部からは、いずれも現時点の利益水準に対して高い値段を出していると指摘されている。
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