「とりあえずプロンプトを入れただけ」のカスタムGPTはもったいない! 精度を高める5つのポイントその悩み、生成AIが解決

» 2026年04月01日 06時00分 公開
[酒井麻里子ITmedia]

連載:その悩み、生成AIが解決

アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。

Q.チームで使うためにカスタムGPTを作成していますが、回答が安定せず、あまり使われていません。精度を上げるためにできることはありますか?

 ChatGPTのカスタムGPT(GPTs)は、目的に応じてプロンプトや参照する資料を固定できるので、毎回同じフォーマットで書類を作成したい場合に重宝する。例えば、社内で使用する申請書のドラフト作成のように、必要な確認項目や出力形式がある程度決まっている業務とは相性がよい。

 一方で、通常のチャットで指示を出す場合との違いがあまり感じられなかったり、チーム内で共有してもあまり使われなかったりといった課題も少なくない。

 今回は「申請書作成Bot」として、経費精算、出張申請、休暇申請などのドラフトを作成するカスタムGPTを作る場合を想定し、精度を上げるためのポイントを解説する。

著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)

ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。


カスタムGPTの精度を高める、5つのポイント

「指示」と「知識」の役割を明確に分ける

 カスタムGPTには、プロンプトを入力する「指示」欄と、参照資料をアップロードする「知識」欄がある。この2つの役割を曖昧にせず、はっきり分けて設計することが重要だ。

 具体的な作業内容やワークフロー、出力形式といった内容は「指示」にテキストで書く。今回のケースなら、最初にどの申請書を作成するかをユーザーに聞き、その答えに応じてその先の質問を分岐、それぞれの書類作成に必要な項目を順に質問し、最後に全ての項目の確認を表示する流れをプロンプトとして記載することになる。

作業の進め方を記載する「指示」欄と、参照情報をアップする「知識」欄の役割を意識する(筆者が撮影したカスタムGPT「申請書作成Bot」のスクリーンショット、以下同)

 一方の「知識」は「指示」で指定した作業を遂行するに当たって必要となる参照情報を置く場所だ。つまり、申請書のテンプレートや記入例、社内規程といった資料はこちらにまとめておくのがよい。

 作業の進め方は「指示」、判断の根拠となる参照情報は「知識」と分けることで、挙動が安定しやすくなる。

段階的に処理する

 「指示」欄のプロンプトは、処理を段階的に進められるように記載する。今回であれば、書類に入力すべき項目を順番に質問し、続いて例外条件を確認、その後入力内容の確認を表示するといった流れだ。

プロンプト

# 会話の進め方

1. ユーザーが選択した申請種別を確認する

2. 申請種別に応じて必要事項を1つずつ質問する

3. 重要項目が不足している場合は追加質問する

4. 全ての必要事項がそろったら、まず確認用サマリーを表示する

5. ユーザーが確認したら、最終的な申請書をCanvasで出力する

# 申請種別ごとの質問項目

## 1.経費精算

必ず確認する項目:

- 使用日

- 支出内容

(後略)

出力形式を固定する

 定型文書は、必要項目が決まった形式で漏れなく記載されていることが重要だ。毎回同じクオリティーで文書を出力するためには、出力形式をしっかり固定する必要がある。単に「申請書を作成して」という指示だけだと、形式が毎回バラバラになってしまう可能性がある。

 この場合も「指示」と「知識」の両方を使い分けて指定することがポイントになる。それぞれの申請書の記載項目や記載順は「指示」で指定。「知識」には、申請書のテンプレートや記入例など、出力時のフォーマットの参考になる情報を入れておく。これによって、毎回同じ形式に沿って書類を出力しやすくなる。

推奨モデルを指定する

 カスタムGPTでは、デフォルトで使用する「推奨モデル」の指定が可能だ。この指定がなく、ユーザーも選択しなかった場合は、モデルが自動選択される「Auto」が使われる。しかし「Auto」の場合、用途によっては出力結果の精度が不十分になるケースもある。

 今回のように、質問を分岐させながら必要項目を確認し、最終的に一定の形式でまとめるといった長い処理を行う場合は、高度な推論を得意とするThinking系のモデルを設定しておくとよい。タスク内容にあったモデルをあらかじめ指定することで、安定した出力が期待できるようになる。

複雑な操作を実行するカスタムGPTは、Thinking系のモデルを推奨モデルに設定しておくとよい

会話のきっかけを工夫する

 せっかくカスタムGPTを作っても、チーム内であまり使われずに形骸化してしまうことがある。そのようなときは、利用ハードルを下げるための施策として「会話のきっかけ」を工夫するとよい。これはユーザーが最初に入力する内容をボタンで表示できるもので、最大4個まで表示が可能だ。

 今回の用途であれば、会話のきっかけに「経費申請書を作成する」「出張申請書を作成する」といった項目を用意しておくのがよいだろう。申請書の種類をクリックするだけで利用を開始できるようになる。

 ささいなことのようにも思えるが、「最初の一歩」で、自分で文字を入力する必要があるのと、ボタンをクリックするだけで済むのでは心理的なハードルがかなり違う。ユーザーの負担をいかに減らすかを考えることも、使われるカスタムGPTを作る上では重要だ。

「会話のきっかけ」を設定することで、ユーザーはボタンをクリックするだけで利用できるようになる

 今回紹介した5つのポイント「指示と知識の役割分担」「段階的な処理設計」「出力形式の固定」「推奨モデルの指定」「会話のきっかけの工夫」を意識することで、意図したとおりの出力ができ、業務で実際に使われるカスタムGPTを作成しやすくなる。

 「とりあえずプロンプトを入れただけ」のカスタムGPTで運用に行き詰まっているなら、ぜひ試してみてほしい。

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