まず確認すべきなのは、ヴィレヴァンの業績は実際に厳しい局面にあることだ。2025年5月期は最終赤字が42億4700億円。2026年5月期中間決算では、売上高も107億8400万円で、前年同期比8.6%減となっている。
こうした不振を受けて、会社は不採算店の整理を進めており、ピーク時には400店を超えていた店舗数も、2025年11月末時点で279店まで縮小している。
本店閉店が「一つの店舗の事情」としてではなく、「ブランド衰退の象徴」として受け取られているのは、こうした文脈がすでに一般に共有されているからだろう。
もっとも、厳しいのはヴィレヴァンだけではない。物価上昇で家計が圧迫される中、生活必需品ではない商品を扱う雑貨店や書店が苦戦するのは不自然ではない。ヴィレヴァン側も決算資料で、物価上昇や実質賃金の低迷による節約志向の強まりを挙げている。
ただ、ヴィレヴァンの不調を外部環境だけで説明してしまうのは不十分だ。問題は、景気や消費行動の変化だけでなく、この店が持っていた強みそのものが失われている点にある。
近年、しばしば指摘されてきたのは、個性の希薄化である。とりわけ、ショッピングモールへの出店が増えるにつれて、かつて店舗空間に色濃く宿っていた「サブカル感」が薄れてきた、という見方が根強い。
もともとヴィレヴァンの魅力は、店員が好きなものを商品として並べたり、彼らが手書きのPOPを用意したり、そうした熱量が店の個性として演出されていた点にあった。しかし、そのような「店の手触り」とでもいうべきものが、ショッピングモールをはじめとした場所への大量出店とともになくなったのではないか、というのがよく指摘される。
より現実的な見方では、流通アナリストの中井彰人氏が指摘するように、ヴィレヴァンの「書店」という形態そのものが、十分な収益構造を築きにくいという見方もある。
いずれにしても、ここで指摘されているのは、主に「店側」の事情である。
しかし、もう一つ見落としてはならないのが「消費者側」の変化だと筆者は考える。
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