その点で、ヴィレヴァンにまったく希望がないわけではない。
その業績には、わずかながら持ち直しの兆しも見える。2026年5月期の中間決算では、売上高こそ107億8400万円と前年同期比で8.6%減ったものの、利益面では赤字から黒字へ転換した。
決算説明資料によると、仕入れ、人件費、家賃といった店舗管理コストの最適化を進め、売り上げが減っても利益を確保できる体制へと移行しつつあるという。売上総利益率も前年の38.3%から45.2%へ上昇しており、「効率よく稼ぐ」方向への転換がうかがえる。
これは、カプセルトイ専門店に見られるような「仕組みの強さ」を、ヴィレヴァンなりに取り入れ始めていることを示しているともいえる。
リアルな空間が持つ「偶然の出会い」は、TikTokのようなプラットフォームによって完全に代替されるものではない。しかし、その価値を維持するには、これまで以上に持続可能な運営の仕組みを整えなければならない。
ヴィレヴァンにまとわりつく「衰退」のイメージを払拭するために必要なのは、昔の雰囲気を懐かしむことではない。本来の強みであった「偶然の出会い」を、いまの時代にふさわしい形で再設計し、それを支える低コストで再現可能な仕組みを築くことにある。復活の鍵は、そこにこそあるのではないか。
都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材などを精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。講演やメディア露出も多く、メディア出演に「めざまし8」(フジテレビ)や「Abema Prime」(Abema TV)、「STEP ONE」(J-WAVE)がある。また、文芸評論家の三宅香帆とのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」はMBSラジオポッドキャストにて配信されている。
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