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アサヒ・アスクルを襲った「PC1台の死角」 日本HPが説くセキュリティ投資の真意(2/4 ページ)

» 2026年04月17日 07時00分 公開
[武田信晃,ITmedia]

「紙の壁」をAIで壊す AIPC普及を担う“キラーアプリ”の正体

 日本HPは、2024年をAIPC元年と位置付け、2025年には法人向けノートPCの通信サービス「eSIM Connect」を、販売戦略の差別化要素とした。しかし、AIPC自体をまだ一般消費者に対して訴求しきれていないように見える。「AIPCで何ができるかを、はっきり示せていないからではないか?」という疑問がわく。この問いに対し、岡戸社長は「(普及させる決定打となるような)キラーアプリケーションによる課題解決のフェーズに入りました」と明言する。

 同社が推すキラーアプリの急先鋒が、韓国のAI企業Upstage AI社と提携した「SolarBox」だ。これは、日本企業に根強く残るFAXや紙の非構造化文書を、オンプレミス環境で安全に構造化データへ変換するドキュメントAIだ。これまでAI活用の障壁となっていた「紙の壁」を「AIPCが物理的に取り払い、文書活用の課題を解決する」(岡戸社長)という。 

 「日本はいまだにFAXなど紙が多い国で、この商習慣がAIのデータベースを作っていくためのボトルネックになっています。SolarBoxは、機密情報を外部に出さずに、さまざまなデータを構造化し『使えるデータ』へ変えてくれます。日本市場におけるAIPCのキラーアプリになるはずです」

韓国のAI企業Upstage AI社と提携した「SolarBox」(日本HPのWebサイトより)

 日本HPは、電車通勤をする人が多いなど日本社会特有の状況を勘案し、2019年に薄型軽量PC「ドラゴンフライ」を日本向けに投入してきた。一方でその後のAIPCにおいては、最大34時間駆動できるバッテリーを搭載した「OmniBook 5」14-heを展開している。軽量化ではなく、バッテリーに注力した意図は何か。

 「日本は、PCの軽さを重視する市場であることは間違いありません。しかし以前から当社は『バランスを取りながら開発すること』をコンセプトにしてきました。軽さだけを追求するのは、難しくありません。一方バッテリー容量を増やしたり、堅ろう性を求めたりすると、軽量化とのトレードオフになります。だからこそバランスを重視するのです」

 AIを使うと、多くのバッテリーを消費する。AIの計算に特化した専用プロセッサ「NPU」(Neural Processing Unit)は省電力であることから、日本HPのAIPCは基本的にNPUを搭載し、バッテリーの持ちを長くする対策を講じている。

 今後のPC販売は「セキュリティ」「NPU」「軽さ」といったそれぞれの分野で、総合力が問われるということだ。「Windowsのマイグレーションを終えた今後は、総合的なバランスこそが、顧客企業の選定基準になっていくでしょう」

 価格はどうか。AI需要の高まりから、メモリ製造メーカーは、高付加価値のメモリに対して生産体制を集中させており、通常のPC向けのメモリは供給不足から価格が高騰している。資材価格も上昇しており、PCの販売戦略上は逆風が吹いている状況だ。「部材の高騰があるので、価格に転嫁していくのはビジネスを継続する上で必要です。ただ不確定な要素が多く、様子を見ながら決めていきます」(岡戸社長)

 BtoCでいえば、米AppleのマッキントッシュPCは一定のブランド力がある。日本HPのブランド力を向上させる方策をどう考えているのか。

 「例えば、世界的にはF1のフェラーリやサッカーのレアル・マドリードのスポンサーをしています。さらに全世界でFuture of Work(新しい働き方)を実現する技術と製品を提供しています。日本においては『はたらく人に、こだわる自由を』というキャンペーンを打つなど、ブランディングへの投資を強めています」

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