鉄道業界では近年、列車を運転士1人で運行する「ワンマン運転」が急速に広がっている。かつてはローカル線を中心とした運行形態だったが、現在では首都圏の通勤電車にまで導入が進み、特別なものではなくなりつつある。
ワンマン運転とは、本来は運転士と車掌の2人で担っていた業務を、運転士1人で兼務する運行方式を指す。具体的には、列車の運転に加え、ドアの開閉、車内案内、場合によっては運賃収受なども運転士が行う。
その象徴的な動きが、JR東日本による大都市圏での導入拡大だ。2025年春には常磐線各駅停車と南武線、2026年春には横浜線や根岸線でワンマン運転が始まり、さらに2030年度をめどに山手線、京浜東北線、中央・総武緩行線、埼京線・川越線へと拡大する計画が示されている。こうした動きは、ホームドアや車内外の監視カメラなど、安全確認を支える設備の整備が進んだことを背景としている。
もっとも、ワンマン運転自体の歴史は古い。戦後では1954年、名古屋市電の閑散路線で導入されたのが始まりとされ、その後は過疎化が進む地方の中小私鉄や国鉄・JRのローカル線へと広がった。1971年には関東鉄道竜ヶ崎線で鉄道(路面電車以外)として初めて導入され、現在では地方路線ではむしろ一般的な運行形態となっている。
さらに地下鉄でも、1984年の福岡市地下鉄を皮切りに、新規開業路線を中心に導入が進められてきた。当初は利用者数の見込みが限られる路線における人件費削減の意味合いが強かったが、近年では流れが変わりつつある。
例えば2009年に導入された東京メトロ丸ノ内線では、従来は車掌が乗務していた路線に対し、ホームドアの整備や既存車両の改造を行った上でワンマン運転を実現した。こうした既存路線への導入も進み、ワンマン運転は「地方の効率化策」から「都市鉄道の標準」へと位置付けを変えつつある。
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