この記事は、『世界はコンセプトでできている』(篠崎友徳(「崎」は「たつさき」)著、かんき出版)に掲載された内容に、かんき出版による加筆と、ITmedia ビジネスオンラインによる編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
「好評だったプレゼン」「売れている商品」「成功したビジネス」――こうした成果の裏側にあるのが「優れたコンセプト」だ。本書は、5年間で売り上げ100億円を超えた商品の開発に携わった著者が、コンセプトの役割や作り方を解説する。
「売れるモノ」の共通点は何だろうか。かつて、博報堂でさまざまな企業のクリエイティブ設計を行った篠崎友徳氏は、売れるモノには「選ばれる理由」があるという。
選ばれる理由を作るにはどうすればいいのか。「価値の再定義」によって世界的な成功を収めた民泊プラットフォーム「Airbnb」(エアビーアンドビー)の事例を基に、コンセプトの存在価値について篠崎氏が解説する。
かつては「モノを所有すること」が、人々の欲求の中心だった時代がありました。
戦後の復興期から高度経済成長期にかけては、テレビ・洗濯機・冷蔵庫のいわゆる「三種の神器」に代表されるような、生活を便利にしてくれる耐久消費財の所有が注目を浴びました。
その後のバブル期は、日本人全体の所得上昇と金融緩和を背景に、高額消費が自己実現を象徴するステータスになり、実用品よりもぜいたく品やブランド品など、希少価値が高いモノの所有に人々の目が向けられました。
平成に入ると、経済の落ち込みや社会不安の影響によって、消費マインドが冷え込みます。その結果、無駄なぜいたくよりも圧倒的な「コスパ」が重視されるようになり、「ユニクロ」「ニトリ」などに代表される「安くていいモノ」の所有が加速しました。
それに比べて、令和現在の社会は豊かで、世界中にあらゆるモノや情報が氾濫しており、インターネットやスマートフォンの普及、物流インフラの充実によって、ある程度のレベルのモノやサービスであれば、必要なときにすぐに手に入るようになりました。
品質面での差も昔に比べて小さくなり、価格もだいたい横並び、さらには価値観も人それぞれ、となれば、何を所有しても一定の満足は得られる状況です。
ところが、選択肢が多いこと自体はうれしい反面、似通ったものがたくさんあるため、現代人は「不足するものを補う」ことよりも「自分に合ったものを選ぶ」ことに意識が向いています。
また、SNSやレビューサイトが普及したことで、他人が一生懸命考えて選んだものを簡単に検索し、あらゆるものを比較できます。
さらには、商品やサービスの機能や価格だけでなく、企業姿勢やブランドのストーリー、社会的意義まで含めて、総合的に判断される時代に突入しています。
例えば、同じ価格帯のコーヒーでも、単純に「おいしい」「価格がちょうどいい」だけでは購入の動機になりにくくなりました。「フェアトレードで生産者を支援している活動に共感するから選ぶ」「環境に配慮したパッケージだから買う」「ブランドの世界観がおしゃれだから選ぶ」などといった「選択する理由」が重視されます。
だからこそ、そこにしかない価値を作り、多くの選択肢から「選ばれる理由」になるコンセプトの重要性が一層高まっているのです。
モノを売る側からすれば、品質や価格だけを追求するだけでは売れる保証がないため、「一筋縄ではいかない」時代になってしまった、といえます。
しかし、それこそ“視点”を変えれば「成功するきっかけが多様化した」と捉えることもできます。
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