3月に開催された米NVIDIAの年次イベント「GTC 2026」で、同社CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏が基調講演に登壇した。注目のオープンソースプロジェクト「OpenClaw」を「人類史上最も重要なプロジェクトの一つ」と絶賛した。
OpenClawとは、LLM(大規模言語モデル)や外部ツール、ファイルシステムを統合し、タスクを分解し、サブエージェントを生成しながら自律的に実行するエージェントシステムだ。
インターネット上からOpenClawを無料でダウンロードして、OpenClaw用に用意したPCにインストール。米OpenAIや米Anthropicの「Claude」などのLLMと接続し、メールアカウントやチャットツール、各種ソフトのアカウントをOpenClaw用に設定する。
ちょうど新入社員にPCを買い与え、メールや各種ソフトを取得させるのと同じような感覚だ。また、新入社員に対して仕事のことを教えるように、OpenClawに対しても、仕事内容や期待していることなどをチャットを通じて伝えると、後は人間の社員と同じようにOpenClawが働いてくれる。生身の体があるわけではないので、まるでリモート勤務の社員とやり取りをする感覚になる。
これまでのAIエージェントは、要約や翻訳などあくまでもツールという感覚があったが、OpenClawはかなり自律的で、ツールというより「同僚」という感覚に近いという人が多い。
フアン氏は、米MicrosoftのWindowsがPCを普及させたように、OpenClawはパーソナルエージェントの時代を開くことになると指摘。OpenClawは次のコンピューティングのOS(基本ソフト)であり、全ての企業にOpenClaw戦略が不可欠になると語った。
ただ、OpenClawにはリスクもある。社員のような存在なので、社内の機密情報へもアクセスするし、プログラムも自分で操作する。外部との通信も自分の判断で行う。そのため、そのままでは企業環境に導入できないのが現状だ。
そこでNVIDIAでは、ポリシー管理やセキュリティガードレール、プライバシー制御などの機能を組み込んだ参照実装「NemoClaw」を発表。企業がOpenClawを導入しやすい補助レイヤーを提供し始めた。
OpenClawの開発者であるピーター・スタインバーガー(Peter Steinberger)氏は、すでに米OpenAIに引き抜かれている。OpenAIも、OpenClawを同社の製品の中核にすると語っている。
LLMの性能競争が激化する一方で、LLMを自律エージェントとして活用するための枠組み作りの競争が始まったわけだ。2025年はエージェント元年と呼ばれたが、2026年はエージェントが単なるツールから「社員のような自律エージェント」へと進化する年となりそうだ。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「全ての企業はOpenClaw戦略が不可欠=NVIDIAのCEO」(2026年3月20日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
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