学生寮・社員寮の運営を軸に成長してきた共立メンテナンスですが、その後の業績を大きく左右する存在となったのがホテル事業です。ここからは、ホテル事業を中心に、コロナ禍前後における同社の業績推移を見ていきます。
2019年3月期は、共立メンテナンスにとって過去最高益を達成した年でした。寮事業では高い稼働率を維持し、ホテル事業の営業利益も前期比14.9%増となるなど、9期連続の営業増益を達成しています(参照:共立メンテナンス「2019年3月期 決算説明資料」PDF)。
しかし、コロナ禍の拡大で、その成長に急ブレーキがかかりました。
2020年3月期は、売上高が1697億7000万円と前期比4.3%増となり、事業規模の拡大が続きました。一方で、売上原価が前年の1252億2900万円から1355億5400万円へと大幅に増加した影響で、営業利益は112億500万円(前期比23%減)、当期純利益は69億2700万円(同27.6%減)と、増収減益となります(参照:共立メンテナンス「2020年3月期 決算説明資料」PDF)。
背景には、2020年2月以降に本格化したコロナ禍の影響がありました。ただ、寮事業は一部影響を受けながらも、営業利益は80億2100万円(前期比2.7%増)と底堅さを維持しています。一方、ホテル事業も営業利益48億5300万円を確保していましたが、コロナ禍の影響により同41.0%減となりました。
2021年3月期は、売上高が1212億8100万円まで急減し、前期比28.6%減となりました。営業利益は90億5700万円の赤字、当期純利益も121億6400万円の赤字に転落します(参照:共立メンテナンス「2021年3月期 決算説明資料」PDF)。
インバウンド需要の消失や国内旅行需要の低迷、「Go Toトラベル」の停止などにより、ホテルの稼働率が大幅に低下し、131億3000万円の営業損失を計上しました。
一方で、連結全体の営業損失は90億5700万円にとどまっています。寮事業が49億円の営業利益を確保したほか、総合ビルマネジメント事業やその他事業なども黒字を維持したためです。ホテル事業の大幅赤字を、寮事業などの安定収益が補った構図といえます。
2022年3月期は売上高が1737億100万円(前期比43.2%増)まで跳ね上がり、2019年3月期の水準を上回る回復をみせました。営業利益は14億3100万円、当期純利益は5億3900万円と、黒字転換を果たします(参照:共立メンテナンス「2022年3月期 決算説明資料」PDF)。
ただ、この時点でホテル事業は94億円超の営業赤字でした。黒字転換を支えたのは、デベロップメント事業です。保有していた不動産を現金化することで、同事業の売上高は406億6100万円(前期比222.5%増)、営業利益は86億800万円(同1223.9%増)へと急拡大しています。
ホテル事業では、この厳しい環境下でも新規出店を継続。ドーミーインを2施設、リゾートホテルを1施設開業したほか、マイクロツーリズム向けの「NEW LOCAL STAY プラン」やワーケーション利用を狙った「WORK PLACE DORMY」などのプランを展開しました。
2023年3月期は、行動制限の解除や入国規制の緩和を追い風に、ホテル事業が回復へ向かいます。売上高は1756億3000万円と前年並みだったものの、赤字要因だったホテル事業の収益が改善しました(参照:共立メンテナンス「2023年3月期 決算説明資料」PDF)。
ホテル事業では、ドーミーインを7施設、リゾートホテルを5施設オープン。リゾートホテルは新規開業費用やエネルギーコスト増加の影響で赤字となったものの、ドーミーインの既存施設が回復し、ホテル事業全体では55億円超の営業利益を確保しました。
背景にあるのが、付加価値戦略です。温泉大浴場や本格サウナ、ご当地メニューを中心としたビュッフェ、夜鳴きそばといったサービスが評価され、稼働率と客室単価が大幅に改善しました。
2024年3月期は、売上高が2041億2600万円と初めて2000億円を突破。営業利益は167億800万円、当期純利益は124億1400万円となり、いずれも過去最高を更新しました(参照:共立メンテナンス「2024年3月期 決算説明資料」PDF)。
ホテル事業も好調で、売上高は1255億7000万円(前期比24.3%増)、営業利益は148億4300万円(同169.2%増)となりました。入国制限の解除によるインバウンド需要の回復に加え、円安や国内の出張・レジャー需要の拡大も追い風となっています。
2025年3月期も勢いは続き、売上高は2289億3300万円、営業利益は204億9100万円と、初めて200億円を突破しました。当期純利益も145億6200万円となり、過去最高益を更新しています(参照:共立メンテナンス「2025年3月期 決算説明資料」PDF)。
ホテル事業では、訪日外国人客数の増加を背景に、売上高1392億5000万円、営業利益184億9800万円と好調を維持しました。
2026年3月期も、大阪・関西万博による宿泊需要の増加に加え、訪日外客数が年間4200万人を突破し過去最多を更新するなど、インバウンド需要の拡大が追い風となっています。
2026年3月期の業績予想では、売上高2740億円(前期比19.7%増)、営業利益250億円(同16.7%増)、当期純利益180億円(同23.6%増)を見込んでいます。
ホテル事業についても、売上高1510億円、営業利益226億円と、さらなる増収増益を見込んでいます。
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