共立メンテナンスの現在の売上高や営業利益の中心はホテル事業が占めています。一方で、ここまで見てきたように、寮事業は景気や観光需要、インバウンドの影響を比較的受けにくく、安定した収益を生み出してきました。
背景にあるのが、事業特性の違いです。学生寮には進学に伴う一定の居住需要があり、社員寮も企業による従業員向け住居としてのニーズがあります。少子化や働き方の変化といった課題はあるものの、ホテル事業のように景気や観光需要、インバウンドの影響を直接受けにくい構造となっています。
さらに、寮事業で培われたノウハウは、ホテル事業にも生かされていると考えられます。寮運営では、単に部屋を貸すだけではなく、食事の提供や建物管理、入居者の生活サポートまで含めた運営が求められます。入居者が安心して生活できる環境を整えることが、寮事業の本質です。
この「生活を支える」という発想は、ドーミーインのサービスにも生かされています。例えば、大浴場や夜鳴きそばは、単なる設備や無料サービスではありません。出張や旅行で疲れた宿泊客に、ほっとできる時間を提供する役割を果たしています。朝食に力を入れる姿勢も同様です。宿泊者の1日を支えるという意味では、寮事業における食事提供と共通する部分があります。
つまり、ドーミーインの強みは、ホテル業界の常識だけで作られたものではありません。寮事業で培った「生活を支える力」を、宿泊サービスへ応用した結果ともいえるでしょう。
今後もホテル事業は、共立メンテナンスの成長をけん引する主力事業であり続けるでしょう。一方で、ホテル事業は観光需要やインバウンド需要の変動を受けやすい側面もあります。
その中で、安定収益を生む寮事業を持ち、そこで培った生活支援のノウハウをホテル運営へ生かしている点は、共立メンテナンスの大きな強みです。寮事業を原点とする「生活を支える力」こそが、同社の底力といえるでしょう。
大阪府立大学経済学部卒。第二地方銀行にて預金・融資業務、消費者金融では債権回収、信用組合においては融資・経理・審査管理に従事。
現在はフリーライターとして、資金調達・資金繰り、銀行融資、ファクタリング等の金融ジャンルを中心に執筆する。
審査・回収・債権管理といった現場経験を踏まえ、制度や数字の解説にとどまらず、実務上の論点や注意点まで整理して提示することを得意とする。
中小企業の資金繰り改善や金融機関対応に関する記事実績多数。金融機関向け通信講座教材の企画・執筆経験あり。
執筆・監修等のご相談はお問い合わせフォームより。
中小企業は「消去法」で50代を採用する 早期退職の前に知るべき現実
退職一時金を「廃止」する会社は増えるのか 優秀人材が逃げる給与シフトの成否
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
66.6億円の大赤字から4年で最高益へ 「ぴあ」は何を変えたのか?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング