「オンライン会議」は禁止すべきか? 手軽さが“会議数インフレ”を引き起こすワナ「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/3 ページ)

» 2026年05月18日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]
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そもそも、その会議は本当に必要か?

 根本的なことを問いたい。そもそも、その会議は必要だったのか。

 情報伝達の仕組みは、今や驚くほどそろっている。チャット、メール、社内ポータル、動画共有、ドキュメント共有――これだけの道具があるにもかかわらず、なぜ「とりあえず会議をする」のか。

 会議が本当に必要な場面は、実は限られている。複数人がリアルタイムで議論しなければ決まらない意思決定。感情的な問題を含む繊細な人間関係の調整。緊急で状況が刻々と変わるクライシス対応――このくらいだ。

 それ以外のほとんどは、会議にしなくていい。

 情報共有は資料、確認はチャット、報告は動画でよい。ちょっとした相談は1対1の短い通話でよい。「どうしても声を聴きたい」のなら電話で十分だ。ZoomやTeamsを起動してカメラをオンにして、顔を映しながら話す必要はない。

 「対面かオンラインか」という問いを立てる前に、「会議にするかしないか」を問うべきだ。この問いを持つ組織は、持たない組織と比べて年間数百時間を削減できる可能性がある。

 弁護士ドットコムの調査では社内会議中に「無駄を感じたことがある」と答えた人は88.8%に達するという。無駄の内容として多かったのは「別の方法で既に伝えている事項を改めて共有する」という項目だ。メール、チャット、資料共有で済む。それでも会議にしてしまう。その習慣を断ち切ることが、本当の意味での働き方改革だ。

「会議を効率化する」という発想の限界

 会議改革の話になると「アジェンダを事前に共有する」「タイムキーパーを置く」「会議の目的を明確にする」といった改善策が語られる。もちろんそれらは大切だ。しかしそれは「やることになってしまった会議をどうマシにするか」という発想にとどまる。

 本質的に問うべきは「この会議、最初からやらなければよかったのではないか」だ。

 会議を減らすとは、コミュニケーションを減らすことではない。本当に必要な対話に時間を戻すことだ。意思決定だけを会議にする。それ以外は非同期のコミュニケーションに置き換える。この発想の転換が、今の職場に最も必要なことだと私は思う。

 冒頭の総務部長のオンライン会議禁止令は、表面的には「会議室を使え」という話だ。しかし本当に伝えたかったのは、「会議を開く前に、本当に必要かを考えてほしい」ということだろう。

 私はオンライン会議推奨派だ。便利だし、正しく使えば生産性を高める強力な道具だ。しかし前提として、そもそも会議自体はほとんど不要だと思っている。どうしてもやるならオンラインのほうがいい、というだけの話だ。

 大事なのは「どんな会議をするか」ではなく、「会議しなくて済む方法はないか」を先に考えること。その問いを持てる組織だけが、本当の意味で生産性を高められる。

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