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生成AI「第3の波」とは? NVIDIAトップが説く“パーソナルAIコンピューター”が変える組織の形

» 2026年05月21日 07時00分 公開
[湯川鶴章、エクサウィザーズ AI新聞編集長]
ExaWizards

 オープンソースの自律型AIエージェントシステム「OpenClaw」への絶賛の声が続いている。

 米NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏によると、OpenClawが生成AIにおける「第3の転換点」だという。

 1番目の転換点は、GPT-3がChatGPTとしてリリースされた時。2番目が米OpenAIの「o1」などのリーズニング(推論)モデルが登場した時。そして3番目の転換点として、米Anthropicの「Claude Code」やOpenClawなどの自律型AIエージェントシステムが登場したと指摘する。

photo 米NVIDIAのジェンスン・フアン氏によると、OpenClawが生成AIにおける「第3の転換点」だという(撮影:河嶌太郎)

「第3の波」としての自律エージェント

 OpenClawは、メモリ、スケジューリング、I/Oシステム、スキル(API)という4つの要素を持っている。フアン氏は「この4つがそろえば、それはコンピューターだ。われわれは、OpenClawというパーソナルAIコンピューターを初めて手にしたのだ」と語っている。

「AIツール」から「自律するAI社員」への進化

 パーソナルAIコンピューターは、まるで「AI社員」のようでもある。これまでの企業内でのAIツールは、あくまでもツールという位置付けだった。会議の内容を要約したり、英文を翻訳したり、画像を生成したりする補助的な存在だ。

 しかし、自律型AIエージェントは、自然な日本語で命令すれば、何をどの順番ですべきかを自分で考え、自分で複数のタスクをこなしていく。まるでアシスタントを1人雇ったような感覚だ。

NVIDIAとAWSが整備 企業導入の「安全な仕組み」とは?

 ツールではなく、自律的に動くAIアシスタントには、多くの仕事を任せることができる。一方で、セキュリティやプライバシーの観点から、懸念されることも多い。そこでOpenClawを、より安全に使える仕組みが次々とリリースされている。

 NVIDIAは、隔離された環境でエージェントを実行したり、ネットワークアクセスやデータの扱いをポリシーで厳格に制御したりするする「NemoClaw」を発表した。米AmazonのクラウドサービスであるAWS(Amazon Web Services)も、「Amazon Lightsail」上でOpenClawのワンクリック・デプロイメントを提供し始めている。

「人間がワークフローの邪魔になる」時代の組織論

 こうした企業向けの安全な仕組みが提供されることで、OpenClawは企業などの組織の形を大きく変えていくだろうと、米OpenExOの創業者であるサリーム・イスマイル(Salim Ismail)氏は予測している。

 同氏によると、企業のAIプロジェクトが軒並み失敗しているのは、人間同士のワークフローをAIで最適化しようとしているだけだからだという。ワークフロー自体は手付かずのままなので、それほど大きな生産性向上にはつながらない。

 ところがOpenClawのような自律型AIエージェントをワークフローに組み込めば、複数のAIエージェントはワークフローの改善を自分たちで試みるようになる。効率の良いワークフローの構築に必要なAIエージェントを自分たちで作り出し、ワークフローの最適化が加速していく。

 そのうちに、ワークフローの中に人間が存在することが「邪魔」になる。「邪魔な人間を排除することで、ワークフローはより効率的になる」とイスマイル氏は指摘する。人間の役割は、ワークフローの中の歯車ではなく、ワークフローを監視したり、例外的な問題の発生時に対応したりすることに変わるという。

 自律型AIエージェントを導入した企業の生産性は、大きく伸びる。導入しない企業との差が広がる一方なので、どの企業も導入せざるを得なくなるだろう。

 イスマイル氏は「全ての企業が今すべきことは、組織の端にAI中心の『AIネイティブOS』を作り、そこへワークフローを移管していくことだ」と指摘している。

photo そのうちに、ワークフローの中に人間が存在することが「邪魔」になる(写真提供:ゲッティイメージズ)

本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「OpenClawは生成AIの第3の波 企業組織が大きく変わる転換点」(2026年3月24日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。

著者プロフィール

湯川鶴章

AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。


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